三上功

なぜ、パリジェンヌは流行を追わずにそれぞれが違う服装をするのでしょうか。そこにはフランス人独自の考え方が根付いていると思います。フランス人は「人間は平等ではなくそれぞれ違うものだ」という意識があります。「人間みな平等」という日本人の考え方とは正反対ですね。そのため、それぞれの個性にあったファッションがあるべきで、皆が同じ流行を追うのはおかしいという考えが生まれます。だからパリジェンヌにとって、ファッションは真似するものではなく、自分に合うスタイルを見つける行為なのでしょう。

自分の意見を持つことがもっとも大事だとされるフランスにおいて、他人に従ったりその場の雰囲気や流行に流されること(流行とはまさに自分自身が流されること!)は、生きていないのと同じことになります。パリジェンヌは他人と違って初めて、自分の存在を確認できる。日本人にとっては考えにくいことですが、自分の我を通す代わりに他人には干渉しない。それはつまり、他人の生き方を否定しないことを意味します。これこそ人生を楽しく生きる秘訣で、それがそのままフランス人そのものの性格にも当てはまります。他人には無干渉でも、それは都会特有の無関心とは全く違います。それは「お互いの存在を認め合う意味での無関心」なのです。

One thought on “三上功

  1. shinichi Post author

    パリの写真(Photo de Paris)

    par 三上功(Kou Mikami)

    http://www.geocities.jp/kcc_newair/parisienne.htm

    パリジェンヌのイメージ

    パリジェンヌのファッション、おしゃれのイメージ
    パリジェンヌと言えばおしゃれというイメージが強い。それはどの女性雑誌もパリジェンヌの服装特集をしていることからも見てとれます。フランス女性のファッション、特にパリの街角のスナップ写真などは雑誌でよく見かけます。しかし、実際にパリを歩いていると分かりますが、ほとんどのパリジェンヌの服装は普段着です。

    多くのパリジェンヌはGパンが履いていることが多く、服装もシンプル。そして皆古着のような、または自分で作ったような服を着ている人もいます。日本女性の美的基準の一つである「かわいい」とは全く違う服装で、それは素のままの自分をもっとも引き出せる服装でもあります。日本のように人気のファッション(ブランド)で自分自身をキャラクター化したりブランドに身を包むのではなく、いかに自分らしさを出すかが重要となってくるようです。

    それは日本のような大きな流行というのがないせいなのかもしれません。たしかにパリコレという世界的なファッションイベントはありますが、そこに出てくるファッションモデルを真似する人はいません。そのため、パリジェンヌという一つのおしゃれなファッションスタイルではなく、パリジェンヌ一人一人が異なる服装をしています。それが日本人から見たらオシャレに見えるのかもしれません。

    パリジェンヌは何故個性的なのか
    ではなぜ、パリジェンヌは流行を追わずにそれぞれが違う服装をするのでしょうか。そこにはフランス人独自の考え方が根付いていると思います。フランス人は「人間は平等ではなくそれぞれ違うものだ」という意識があります(昔から続く堅固な階級社会もそこに関連しています)。「人間みな平等」という日本人の考え方とは正反対ですね。そのため、それぞれのベース(個性)にあったファッションがあるべきで、皆が同じ流行を追うのはおかしいという考えが生まれます。だからパリジェンヌにとって、ファッションは真似するものではなく、自分に合うスタイルを見つける行為なのでしょう。フランスでの平等とは、それぞれの個性(違い)において全くの自由であることを意味します。それこそがパリジェンヌのファッションが美しいことの根源的な理由なのかもしれません。そしてそんなパリジェンヌの姿は、パリの街に非常によく似合っています。世界的に有名なフランスのファッションデザイナー、ココ・シャネル(1883~1971)は女性のファッションについてこう語っています。「きちんと着こなしていない女性の場合には洋服が目に付くが、すばらしい着こなしの人の場合には洋服ではなくて彼女そのものが映えて見えるのだ」。

    いかに安く服を手に入れるかも重要
    また、いかに安く素敵な服を手に入れるかも、パリジェンヌにとって最重要課題になってくるようです(フランス人はヨーロッパの中でも服飾関係に関する消費量が少ない)。デパートやブティックのソルド(バーゲン)は人気ですし、安い服を手に入れるために蚤の市へ掘り出し物を探しに行くことも多いです。そして使えるものであれば親や祖母のお古を再利用し、自分流にアレンジして着こなしてしまう。随筆家小門勝二は「パリジェンヌは、決してきらびやかなよそおいをして、派手な歩きかたをしているわけではない。いや逆だ。ちょっと見は地味で質素で、どこの堅気の家の娘さんかとおもわれる」と言っています。となると、パリでごく普通の暮らしをしている女性こそがパリジェンヌと言えるのではないでしょうか。祖母や母がパリジェンヌだったように、自分もその伝統の中に入る。そして伝統的でありながら自分の道を行く自信に満ちている。パリジェンヌとパリは歴史の中で深く結びついています。パリジェンヌのおしゃれを学ぶことは、究極の自分らしい生き方につながるのかもしれません。

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    パリジェンヌの性格

    パリジェンヌの性格と聞いてどんなイメージを持つでしょうか。エレガント、気が強い、高飛車、プライドが強そう。実際のパリジェンヌは実に様々。それぞれに個性があってこそ、そのすべてがパリジェンヌですし、一つにまとめることはできません。あえて共通点を挙げるのであれば、個人主義が多いことかもしれません。

    個人主義はよくエゴイストと同一視されることが多いですが、実際には違うようです。個人主義とは他人と比べたりせずに自分の生き方に忠実であること。自分の意見を持つことがもっとも大事だとされるフランスにおいて、他人に従ったりその場の雰囲気や流行に流されること(流行とはまさに自分自身が流されること!)は、生きていないのと同じことになります。パリジェンヌは他人と違って初めて、自分の存在を確認できる。日本人にとっては考えにくいことですが、自分の我を通す代わりに他人には干渉しない。それはつまり、他人の生き方を否定しないことを意味します。

    これこそ人生を楽しく生きる秘訣で、それがそのままフランス人そのものの性格にも当てはまります。他人には無干渉でも、それは都会特有の無関心とは全く違います。それは「お互いの存在を認め合う意味での無関心」なのです。あなたが話しかければ(たとえフランス語ができなくても)、しっかりと会話をしてくれます。そんなパリジェンヌがいるパリは、やはり素晴らしい都市なのだと思います。

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    パリジェンヌと日本女性

    パリジェンヌと日本女性の違いはどこにあるのでしょうか。文化も国も異なるので違いがあるのは当たり前ですが、特徴的な違いを見ることでパリジェンヌについてより理解できるのではないかと考えています。

    (1)集団行動か個人行動か
    第1に日本女性は集団の中で仲良くする傾向があるのに対し、パリジェンヌは集団的な仲のよさを好みません。何故かと言うと、「人はそれぞれ違う」という意識が根底にあるからです。性格も意見もそれぞれ違うのに、皆が同じ意見で集団で同じことをするのはおかしいという考えを持っています。だからといって日本人の行動が間違っているのではなく、日本人は昔から和を尊ぶ人種であるため、集団行動は当然の習慣といえます。そのため日本女性は相手の意見に合わせることを美徳とし、一方でパリジェンヌは自分の意見をしっかり言うことを礼儀としています。

    (2)流行を追うか追わないか
    第2に日本女性は流行のファッションやブランドを身に着けるのを好むのに対し、パリジェンヌは自分だけの流行を持っています。だからパリジェンヌはそれぞれが個性的に見えるのかもしれません。その一方で日本女性のファッションは前述したような集団的な同調意識が働き、皆が着ているような服や今流行のブランドを好む傾向にあります。最近ではパリジェンヌを手本としたファッションやインテリアの特集が雑誌やWebなどでたくさん紹介されていますが、パリジェンヌのファッションや部屋自体がそれぞれ異なるため、パリジェンヌの根底にある意識を理解しない限り手本とすることはなかなか難しいような気がします。メディアを賑わすパリジェンヌは日本から見たイメージ(偶像)に過ぎないのかもしれません。

    (3)いつまで女か
    日本女性は社会的な役割によって変化するのに対し、パリジェンヌはどこにいても同じです。日本女性は社会の目に敏感で、そのときに応じて女である自分、妻である自分、母親である自分を使い分けます。そして最も役割の大きいものを、自分のアイデンティティーとする傾向が強いと思います。つまり、結婚した女性は妻や主婦となり、子供を持つ女性は母親となります。パリジェンヌももちろん同じですが、違うのは彼女たちがどんな役割になっても「女」として存在していることです。妻や主婦や母親はあくまで役割に過ぎず、そこにいるのは「女」。だからこそパリジェンヌは生涯を通じて恋愛をするのかもしれません。

    一概にパリジェンヌと日本女性の違いを断言することはできませんが、特徴的な違いを見ることにより、パリジェンヌの理解の一助になればと思います。

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