「なぜジャーナリストを休業したのか?」
このような質問を多くの方から頂戴する。いま、この国で「ジャーナリスト」と呼ばれる記者クラブメディア(おもに新聞・テレビ)の記者たちと同業であることに、一線を引くため。これが理由である。
この10年、日本の「ジャーナリズム」なるもののひどさを、私はイヤというほど味わってきた。メディアが国民に対して、平気で「ウソ」をつく。しかも、みずからは真相を知りながら、あたかも知らないフリをして、事実と異なる報道を行うのだ。多くの国民は、そのようなメディアの「ウソ」に騙(だま)されている。
私がジャーナリストを休業する決意を固めたのは、東日本大震災ならびに福島第一原発事故が起こった「3・11」の直後だった。マスメディアによる「ウソ」がこれほど罪深いものであったことは、戦時中を除いて、はたしてこれまであっただろうか。
「3・11」後の混乱状況に際して、マスメディアは情報を隠蔽し、国民を欺き、国家の信頼を著しく毀損した。しかも当事者たちは、みずからの行為の意味も、それが後世に与えた影響の甚大さも、まったく自覚していない。
それでも、彼らは「ジャーナリスト」なのである。
上杉隆
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