坂上桂子

坂上桂子
マネ以来、印象派、ポスト印象派へつながる 19 世紀後半の画家たちはボードレールの主張する「モデルニテ modernité(現代性)」を、つまり自身が生きる「現代生活」の表現を自分たちの芸術の課題とした。スーラは短い生涯において、ひたすら点描を探求し続け、点描を通してこれを表現しようとしたといえる。スーラが点描の中に探求したモデルニテとは何だったのか。


One thought on “坂上桂子

  1. shinichi Post author

    ジョルジュ・スーラ : 点描のモデルニテ

    by 坂上桂子

    点描法が造形的な意味で一番の目的とした「視覚混合」は、絵の具をパレット上で混合せずに、単色ごと画布の上に置いて網膜上で混合させることを意味するが、実際に、これらのカンヴァスに置かれた色点は目の中で完全に混合されない。代わりにそれは、ちらちらとした「揺らぎ」をもたらし、光の存在を強く感じさせる。この「揺らぎ」の効果は、描く対象を、今にも消え入りそうなあやふやな存在としてみせるため、不確かな彼岸の楽園のイメージを表現するのに有効に機能する。すなわち《グランド・ジャット島の日曜日の午後》における楽園的な主題に点描が見合った手法であることを示す。

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