書くことは考えることだ。だから、書くために必要なことを、自分の頭で考える方法がわかれば、文章力は格段に進歩する。
では、あなたは暗記と応用ではなく、「自分の頭でものを考える方法」を習ったことがあるだろうか?
ある日私は、大学院生からこんなEメールをもらった。
アルバイトで受験生の個人指導をしていますが、彼らが、自主的に”考える”ことを放棄して、その結果、苦しんでいるように見えてしかたありません。学習のみにとどまらず、自己発見や進路についても。苦しんでいることを自覚していれば、まだ良いと思います。”なんとなく”生きている子たちこそ、いま受けている傷は深いのでは、と胸を痛めています。
何ごともあまり考えない、考えてないことにさえ気づかない人は、一見オメデタイ人のように思えるのだが、実は深く傷ついている。
「考えない」というのは、自然天然の状態ではなく、実は、不自由なことではないだろうか。
伝わる・揺さぶる! 文章を書く
by 山田ズーニー
(2001/11/15)
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“なんとなく”で生きるということは、自分の中にあるものと向き合わないことだ。他人の言うことを仕入れては、切り分けて、外に出す。そんな受け売りを繰り返していると、自分の内面と、行動が離れていく。
自分が、外界と関わっていることにならない。
だから、考えることを通して、自分の内面を顕在化できないとき、人は静かに傷ついていくのだ。