政治において、統治にたずさわっている人間を魅力あるものとして提示するためのミランダを、ミリアムは七つあげている。
- 記念日および記憶に残されるべき時代
- 公共の場所および記念碑的な道具立て
- 音楽と歌曲
- 旗、装飾品、彫像、制服などの芸術的デザイン
- 物語と歴史
- 念入りに仕組まれた儀式
- 更新・演説・音楽などをともなった大衆示威的行為
このようにしてみると、今日残っている文化的遺産の多くが、権力者によるミランダなどの情報操作の産物であることがわかる。
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クレデンダは、権力による統治を合法的に具現化するものとなる。クレデンダによる作用は、統治に対する尊敬、服従、自己犠牲、合理性の独占のための諸原理として作用するといわれている。法典はその代表的なものであろう。
天皇というミランダ。一般参賀というミランダ。
歌会始というミランダ。天皇誕生日というミランダ。
国旗というミランダ。国旗掲揚というミランダ。
靖国神社というミランダ。靖国参拝というミランダ。
国歌というミランダ。国歌斉唱というミランダ。
制服というミランダ。制服着用というミランダ。
朝礼というミランダ。整列、右向け右、回れ右というミランダ。
日本書紀というミランダ。建国記念日というミランダ。
社章というミランダ。ラジオ体操というミランダ。
NHKというミランダ。紅白歌合戦というミランダ。
先人たちというミランダ。伝統という名のミランダ。
国民の大半がミランダを愛し、積極的に服従した時、国民は不幸になる。
民主主義というクレデンダ。価値の共有というクレデンダ。
自由というクレデンダ。経済再生というクレデンダ。
憲法というクレデンダ。憲法改正というクレデンダ。
国を守るというクレデンダ。愛国心というクレデンダ。
道徳というクレデンダ。正義というクレデンダ。
国民の大半がクレデンダを信じ、服従しないものを迫害した時、国は滅びる。
自分たちnしていることは正しい。悪いのはみんな相手方だ。
そういうグループを率いるのは簡単だ。
正義を纏い、耳障りのいい言葉を並べていればいいのだから。
国家も、宗教も、会社も、学校も、「愛」とか「誇り」とか「正義」とか言い出したら、怪しいと思ったほうがいい。