川に沿って歩いていたら
突然雨が降り出してきて
さっきまで見えていた山が見えなくなり
川の両脇の街も灰色に霞んでしまった
足元にはあっという間に水溜りができて
ここは水が流れるはずの河原なのかな とか
ここは堤防の内側だから河川敷かな とか
人が決めた どうでもいい定義 を思い出そうとする
目の前の大きな橋を渡れば駅に出るのだと
てのひらのなかの画面が教えてくれるけど
橋に上がれる道がなかなか見つからないので
仕方なく橋の下で雨宿りをする
生い茂る雑草のなか
小さな花が咲いている
大雨が降れば川になってしまうのだろうに
どうしてここで咲いているのか
ふと見回すと
花の周りは灰色の塊ばかり
鉄にアスファルトにコンクリート
あの鉄の橋を取っ払って
アスファルトの道路を取っ払って
コンクリートを取っ払ってあげたい
堤防の外の住宅もぜんぶどけて
川を自由にしてあげたい
思うように流れを変えて
好きなように流れたらいい
小さな流れもたくさん作って
たくさんの生き物に水を与えたらいい
川を川に戻してあげたい
川は何も言わず
戻ることなく
流れて行く
(sk)
第129作
River
Fernando Pessoa
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=54624
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から何らかの刺激を受けて