成毛眞

「捨て方」とは、バカ情報には触れるなとか、情報は整理しなくていいとか、ネットニュースをチェックしまくるのは愚の骨頂とか、メモをきれいにとる必要はないので、捨てることを前提とした紙にとればいいとか——とにかく、「触れる情報を絞り込み、必要最低限のもの以外は溜めることを考えない」というものです。
食べ物同様、情報も、おびただしい数のものが、品質を問わず世に溢れています。全部を摂取し、消化することはどんな人間にも不可能です。アウトプットしない情報をすべて入手している暇も胃の容量もありません。
だからといって、情報をすべて拒めばいいというものでもない。それでは社会的に死んでしまいます。
『情報の「捨て方」』は、情報過多な現代社会を生き抜くため、情報に溺れないようにし、そして、情報という栄養が不足しないようにする方法を記しています。

2 thoughts on “成毛眞

  1. shinichi Post author

    情報の「捨て方」

    知的生産、私の方法

    by 成毛眞

    新聞を読むな。BSテレビを観ろ。メモは「太赤マジック」で取れ。SNS上のバカは即刻「ブロックしてよし」―人生もビジネスも、どう“情報を捨てるか”で質が決まる。「良い情報を探す」前に、疑い、見極め、そうして活かせ。人、街、テレビ、ネット、スマホ…本当の知的生産をするための、「情報活用」以前の教科書。

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    「いま、明かされる衝撃の真実」「真実は闇に葬られたままだ」などという言葉を聞くと、真実とは常に限られていて、ときおり顔を出すありがたい存在のように感じられるかもしれません。
     しかし私は、こういった言葉を聞くと、とたんに眉に唾を付けたくなります。そして、聞く耳を持たなくなります。
     私はこの手の真実には興味がありません。興味があり、また、情報として価値があるのは事実、つまり、実際に起きていることだけだと思っています。
     いつ、どこで、誰が、何を、どのように、どうした。
     文章を読むとき、話を聞くときは、この5W1Hのエッセンスを抽出して、そこに紛れ込む、書き手や話し手の思い込みや願望は排除しています。巷で言われる真実とは得てして、こういったオピニオンに過ぎないからです。なので、一視聴者によるありふれたテレビの感想や、陰謀史観に凝り固まったおとぎ話のようなブログは読みません。はっきり言ってしまうと、素人のブログは狭い視野の上に成り立つオピニオンの塊ばかりで、読むに値しないのです。

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     では、本や最新のテクノロジーが搭載されるわけでもない物を買うときにはどうしているかというと、だいたいの当たりを付けてから、アマゾンを見て絞り込んでいます。
     そのときアマゾンでチェックするのは、売上げランキングでも価格でもありません、カスタマーレビューを見ています。
     カスタマーレビューのことはご存じの方も多いでしょう。購入者による商品のレビューのことです。5つ星での評価のほか、コメントが書き込まれています。
     まず、レビューの多い商品はそれだけ売れていて、買った人に何らかの感想を抱かせるものであることがわかります。
     問題は星の数です。平均星3つの商品でも、星5つをつけた人と星1つをつけた人がどちらも5人ずつの商品と、星3つをつけた人が10人の商品とでは、どちらがいい商品でしょうか。
     私の実感では、5対5に割れている商品のほうが、圧倒的にいい商品です。
     その理由はふたつあります。まず、星1つをつける人は、その商品を正しく理解していないことが多々あります。サイズが明記されているにもかかわらず「思っていたより大きかった」とか「配送時の箱が汚れていました」など、商品そのものではないところに不満を覚え、それをそのまま素直に書き込んでしまっているのです。こういったレビューはまったく参考になりません。
     また、星3つというのは、合格ラインではあるものの、もう一度買うかと聞かれたら、別のものを試してみたいと思うようなときにつけがちな星の数です。

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     私は本が好きで、雑誌も好きなのですが、定期的に購読している雑誌は限られています。ニュース誌である『Newsweek』と『The Economist』、これにサイエンス誌の『Natureダイジェスト』が加わります。『Natureダイジェスト』以外は英語誌です。
     英語の情報誌を読む理由は単純で、日本語で得られる国際情報に限りがあるから。英語を読むのが苦でなければ、この2誌は読んだほうがいいと思います。むしろ、読まない理由はないといっていいくらいです。
     もし英語が苦手なら、『Newsweek』の日本版でもいいし、私も連載している『クーリエ・ジャポン』でもいいと思います。とにかく国際ニュースに触れることは習慣にすべきです。

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