日本共産党

poster-usaソ連が崩壊したときに、ブッシュ大統領は 「神の寵愛によってアメリカは冷戦に勝利しました」、「アメリカ合衆国は西側の指導者から世界の指導者になったのです」と言いました。
そのときに、日本共産党は、「大国主義・覇権主義の歴史的巨悪の終焉を歓迎する」という声明を発表しました。
いかなる国によるものであれ覇権主義に未来はないという展望のもとに、正義と道理にたつものは未来に生きるということを、確信を持って言ったのです。
軍事で物事を解決しようという考えは、過去のものとなりつつあります。いま、世界の各地で、平和の地域共同体がつくられ、広がりつつあります。
日本共産党は、アメリカいいなり政治から、対等・平等・友好の日米関係を築くことをめざす展望をもつ党です。

One thought on “日本共産党

  1. shinichi Post author

    日本共産党創立86周年記念講演会

    正義と道理に立つものは未来に生きる

    日本共産党の志位和夫委員長が二十二日の党創立記念講演会でおこなった講演

    2008年7月25日(金)「しんぶん赤旗」

    http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-07-25/2008072525_01_0.html

     第二に、異常なアメリカいいなりの政治をただすたたかいについて話を進めます。

     自民党政治が異常なアメリカ従属の体質をもっていることは、戦後の米軍による軍事占領、それに続く日米安保体制以来のものです。ただ今日は、この問題を一九九一年十二月に起こったソ連崩壊という世界史的事件、それ以降の十数年の歴史の文脈のなかで考えてみたいと思います。

     ソ連が崩壊したときに、アメリカがどれだけ勝ち誇ったか。一つの歴史的文書を紹介します。ブッシュ大統領――お父さんの方のブッシュ大統領が、ソ連崩壊直後の一九九二年一月に米国議会でおこなった一般教書演説です。そこでブッシュ大統領は次のように述べました。

     「神の寵愛(ちょうあい)によってアメリカは冷戦に勝利しました」、「かつて二つの武装陣営に分断されていた世界が今や、単一の卓越した力を認めています――アメリカ合衆国です」、「(アメリカ合衆国は)西側の指導者から世界の指導者になったのです」。よくもここまで言ったものですね(笑い)。しかも「神の寵愛」です(どよめき)。ここには、ソ連の崩壊によって、アメリカは、世界の「単一の卓越した力」になり、「世界の指導者」になった、超大国は自分一人になった、これからはアメリカが軍事の力で世界を思うように動かせるだろうという、覇権主義の「夢」に胸をふくらませた傲慢(ごうまん)きわまる姿がまざまざと示されています。ソ連崩壊によって、アメリカはここまで増長し、有頂天になったのであります。

     このアメリカ覇権主義の圧倒的な威圧を前にして、世界の平和と進歩を願う人々のなかにも、ソ連にいろいろと批判はあっても、ソ連がなくなってアメリカが強くなったら世界はもっと危険になる、世界の前途は暗いとみて、意気消沈する傾向が強く生まれました。

     一方、世間では、「米ソ対決」がなくなった、「冷戦は終わった」のだから、世界にもう危険はなくなった、対立はなくなった、という傾向も強くあらわれました。当時の社会党は、“だからもう自民党と仲良くしてもいい”と(笑い)、それを一つの理由にして、自民党と連立政権まで組んでしまいました。

     日本共産党は、そのどちらにもくみしませんでした。アメリカが、「ソ連の脅威」という口実が破たんしたもとでも、あくまでも核兵器と軍事同盟を維持し、各地で「世界の憲兵」として侵略と干渉の体制に固執していることを正面から告発し、平和を守るたたかいを呼びかけました。わが党は、ブッシュ大統領の一般教書演説の直後の一九九二年三月に開いた第十九回党大会第六回中央委員会総会で、「アメリカの世界戦略を告発し、その危険な政策とたたかうことは、日本と世界の平和・民主勢力の共通の任務」と指摘し、「平和と民族自決の国際秩序」をつくることを呼びかけています。ソ連崩壊に意気消沈どころか意気軒高と対応する。同時に、アメリカの一国覇権主義の危険を軽視せず正面から堂々と立ち向かう。これがこの世界史的事件にさいして、日本共産党がつらぬいた立場でありました。

     わが党がこうした立場をつらぬけたのは、ソ連崩壊にさいして、アメリカとはまったく別の立場から「歓迎」する態度をとったことと一体のものでした。日本共産党は、ソ連共産党の解体にさいして、「大国主義・覇権主義の歴史的巨悪の党の終焉(しゅうえん)を歓迎する」という声明を発表し、そのなかでこう指摘しました。

     「世界の社会主義の代表者のような顔をしながら、社会主義の立場とはまったく無縁の大国主義・覇権主義の害悪を流しつづけてきたソ連共産党が解体することは、世界で科学的社会主義の立場を堅持してすすもうとする勢力への妨害物がなくなるという点で、世界の平和と社会進歩の勢力にとっても、日本共産党のたたかいにとっても、巨大なプラスをもたらすものである」。

     「歓迎」といっただけでなく、今後の展望として「巨大なプラス」をもたらすというところまで、この時にいったのであります。

     こういう立場から「歓迎」声明を出した党を、私はほかに知りません。わが党の声明を、フランス国営テレビが驚きをこめて紹介したことを思い出します。“世界には途方もないことを言う共産党がいる”(笑い)というような調子でした。

     わが党が、こうした声明を出せたのは、「苦闘と開拓」の歴史に支えられているからです。すなわちソ連の大国主義・覇権主義と党の存亡をかけて三十年にわたってたたかいつづけてきた自主独立の歴史に確固として支えられたものだということを強調したいと思います。(大きな拍手)

     この世界史的な激動にさいして、日本のほかの政党がとった立場はどうだったでしょうか。一言でいえば、アメリカの覇権主義にいよいよ深くのみ込まれてしまった。これからの日本の進路は、唯一の超大国となったアメリカに従っていくことだ、子分となって言うことを素直に聞いていれば日本の進路は安泰だ、そうした風潮がわが党以外の日本の政界を覆いつくしました。

     一九九一年に湾岸戦争が起こり、アメリカは日本に対して、「金を出すだけではなく、人も出せ、血も流せ」という要求をつきつけてくる。それに屈従して、自衛隊の海外派兵を進めようという動きが公然と首をもたげてきました。九一年の四月には、ペルシャ湾の機雷除去を名目に海上自衛隊の掃海艇を派遣、史上初めての自衛隊海外派兵が強行されました。九二年の六月には、自民・公明・民社三党によって、史上初めての自衛隊海外派兵法案――PKO法案が強行されました。

     この大合唱に旧社会党も参加しました。九四年九月、村山内閣発足後の社会党臨時大会では、自衛隊合憲、安保堅持、PKO積極参加など基本政策の根本的転換を決定しました。九五年一月の日米首脳会談で村山首相は、日米安保の地球的規模の拡大に全面協力を約束し、安保「堅持」から「強化」に踏み込んでいきました。こうして、わが党以外の日本の政界は、「日米軍事同盟万歳」「海外派兵万歳」の翼賛体制一色に染め上げられていったのであります。

     こうした流れのなかで、いかなる国によるものであれ覇権主義に未来はないという展望のもとに、日米軍事同盟解消、海外派兵反対、憲法擁護の旗を高く掲げ続けた日本共産党の存在と活動は、誇るべきものであったと確信をもって言いたいと思います。(「そうだ」の声、大きな拍手)

     それではみなさん、ソ連崩壊後の十七年の世界の動きは、十六年前にブッシュ大統領が期待した方向にすすんだでしょうか。世界の動きは、アメリカの期待とはまったく逆の方向に向かったではありませんか。

     軍事力で世界を制覇する野望が挫折したことは、アフガニスタン戦争から七年、イラク戦争から五年たっても、テロと暴力の悪循環はやまず、問題解決の糸口すら見いだせない、軍隊を引くに引けないという大失敗に陥っていることを見ても明らかです。父ブッシュがアメリカに託した期待は、息子ブッシュによって(笑い)、こなごなに砕かれました(笑い)。不肖の息子だったのか(笑い)、それとも親の見通しが違っていたのか。両方だと思います。(爆笑、拍手)

     十六年前、アメリカは「西側の指導者から、世界の指導者になった」と胸をはりました。しかし、イラク戦争にさいしては、西側諸国のなかからも、フランス、ドイツ、カナダなどが公然と反対したではありませんか(拍手)。ソ連の崩壊によって、西側諸国も、何にでもアメリカの顔を立てる必要がなくなり、自由な声を上げ始めたのであります(拍手)。いまだに不自由なのは日本くらいのものです(笑い)。アメリカは、「世界の指導者」になりそこなっただけではありません。「西側の指導者」の地位からも滑り落ちつつあるではありませんか。(大きな拍手)

     軍事で物事を解決しようという考えは、過去のものとなりつつあります。世界の各地で、平和の地域共同体がつくられ、広がりつつあります。

     東南アジア諸国連合(ASEAN)が中心になって、はじめは五カ国でつくった東南アジア友好協力条約(TAC)は、イラク戦争を契機に東南アジアの域外にも大きく広がり、二十四カ国、地球人口の57%を擁する国々が参加し、ユーラシア大陸を覆う巨大な流れに発展しつつあります。その根本精神は、戦争放棄と、紛争の平和的解決であります。

     TACの加入国が広がるのとともに、インドと中国は、数十年にわたる紛争と対立に終止符を打ちました。インドとパキスタンは、領土問題での深刻な対立を平和的に解決しようという試みに踏み出しました。東南アジアには、南シナ海の中央に位置する南沙群島の領有権をめぐる紛争問題がありますが、これも「南シナ海における関係国の行動宣言」が署名され、平和的解決が関係国の合意となっています。TACが紙の上の合意だけでなくて、アジアの平和のために生きて働き始めていることに、私は、大きな期待を寄せたいと思います。(拍手)

     民主的変革が広がる南米でも、平和の地域共同体への力強い歩みが起こっています。今年五月、南米十二カ国すべてで構成する南米諸国連合が、南米諸国連合設立条約を締結し、恒常的な機構となりました。条約の前文には、平和、民族自決権、核兵器のない世界などが、高らかに刻まれています。

     この流れも、生きて働き始めています。たとえばこの間、コロンビア軍によるエクアドル国境侵犯事件がおこりました。しかしこの問題は、コロンビアの大統領が正式に謝罪し、二度と繰り返さないと誓約したことを受け入れて、平和的解決がはかられました。この平和的解決の流れに、南北アメリカ大陸のすべての諸国が参加する米州機構(OAS)のなかで、ただ一国、最後まで反対した国がある。それがアメリカなのです。コロンビアまで賛成したのに、アメリカだけが反対し、南北アメリカ大陸でも完全な孤立におちいっているのが、アメリカの現状なのであります。

     いま南米諸国連合は、アメリカ中心のリオ条約と呼ばれる軍事同盟と一線を画し、共同の安全保障の体制づくりにとりくんでいます。最近、面白いやりとりがありました。ブラジルのジョビン国防大臣と、アメリカのゲーツ国防長官が三月に会談をした。その席で、南米の安全保障の体制づくりに関して、アメリカのゲーツ国防長官が「われわれは何ができるか」と尋ねた。それに対して、ブラジルの国防大臣の答えがふるっています。「何もしないでくれ」(爆笑、拍手)、「これは南米がとりくんでいることだ」。かつて「米国の裏庭」と呼ばれた南米からも、ついに「何もしないでくれ」と突き放され、途方にくれ、頭を抱えているのが、いまのアメリカの姿なのであります。

     アジアでも、ラテンアメリカでも、巨大な平和の激流が起こっています。共通するのは紛争の平和解決と戦争放棄です。人類の社会から紛争やもめ事をなくすことはできないかもしれない、しかし、人類の英知によって、紛争を戦争にしないことはできる(大きな拍手)。この確信が、世界を覆って広がりつつあるのであります。この理想を、世界でもっとも先駆的に掲げているのが、わが日本国憲法第九条ではありませんか(「そうだ」の声、大きな拍手)。だから九条のすばらしい値打ちが、いま世界的規模で見直されているのであります。

     世界はここまで変わっています。ソ連の崩壊は、アメリカに「世界の指導者」、「単一の卓越した力」を保障しませんでした。反対に、世界中の国々が元気になり、新しい活力を得て、自由に発展する道を開くことを保障するものとなりました。

     そのなかでアメリカ自身にもある変化が起こりました。軍事一本やりでなく、外交戦略ももって世界にのぞむ――二面性が生まれてきました。たとえば米国は、いまイラクやアフガンでは、軍事的覇権主義を続けていますけれども、北朝鮮に対しては、外交交渉による解決への政策の大転換に踏み切りました。いま六カ国協議をめぐって、朝鮮半島の非核化にむけた前向きの動きが起こっていますが、これは米国が、「圧力一辺倒」から外交解決へと大転換したことと、大きくかかわっています。

     不破哲三さんは、二〇〇六年の赤旗まつりの「『科学の目』講座」で、「ソ連崩壊が、実際に世界にもたらしたものは、『歓迎』声明をだした私たちの予想をはるかに超えるものがありました。それはまさに、世界を活気づけ、平和と進歩の流れを前向きに進める、文字通り大きな転機になったということを、いま私はつくづく実感しています」と述べました。

     私は、目からうろこが落ちる思いでこの話を聞きました。「私たちの予想をはるかに超えた」というのも、その通りだと思います。ソ連共産党崩壊にあたっての先ほど紹介した声明の中で、私たちは、ソ連共産党の崩壊は世界の進歩にとって「巨大なプラス」になるだろうと書きましたけれども、それは、社会進歩を阻む「妨害物」がなくなるのだから、そうなるに違いないという、理論的な予測でした。

     それがたった十七年間で、こんなに豊かな形で実証されることになるとは、歴史はやはり進むべき方向に進む、法則にのっとって進むという深い感慨を覚えずにはいられないのであります。(拍手)

     ソ連崩壊という、世界史における「決定的な場面」にさいして、その直後の一九九二年初頭におけるブッシュ大統領の立場と、日本共産党の立場と、どちらが未来を見通していたかは、歴史の判定が下ったといえると思います。(「いいぞ」の声、大きな拍手)

     ここでも正義と道理にたつものは未来に生きるということを、確信を持って言いたいと思います。

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