武藤大介, 舟崎淳, 横田崇 3 Replies 類語辞典等による各語の位置付け (a)国立国語研究所「分類語彙表」、 (b)柴田武、山田進・編「類語大辞典」、 (c)山口翼・編「日本語大シソーラス:分類検索大辞典」 による。 「予知」と「予測」及び類似の語に関する調査 (PDF file)
shinichi Post author12/03/2020 at 6:06 pm 「予知」と「予測」及び類似の語に関する調査 Research of “Prediction,” “Forecast” and Similar Signification Words 武藤大介,舟崎淳,横田崇 https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kenshin/vol76p189.pdf ** 1 はじめに これから起きる地震について言及するとき、「地震を予知する」という表現や、「地震を予測する」という表現がある。想定東海地震に関しては、大規模地震対策特別措置法に「地震予知情報」の記述があることからも、「予知」の語が使用される場合が多く、気象庁においても地震防災対策強化地域判定会等においては、専ら「予知」の語を用いる。その例として、気象庁が地震防災対策強化地域判定会の判定結果を受けて発表する「東海地震予知情報」が挙げられる。一方で、地震調査研究推進本部では、「地震活動の予測的な評価手法検討小委員会」が設置され、ここでの成果は「予測」の語とともに用いられる傾向にある。 このように、地震に関して実際に「予知」と「予測」の使い分けがなされているほか、「予知」の使用を止めて「予測」に一本化すべきとの声も聞かれる(文部科学省アンケート調査結果)。このことは、「予知」と「予測」が全く同じ意味で理解されているわけでないことを示している。それゆえ、地震や地震活動を述べるに当たって、意味の違いを曖昧にしたまま、「予知」と「予測」の2 つの語を使用すると、使用する側と受け手側(一般の人々)で両語が持つ意味の違いに対する認識の不一致から、無用の混乱を招く恐れがある。 そこでこの際、「予知」と「予測」及び類似の語について、意味上の違いや言語学的位置付け、並びに両者の使用状況等を調査することとした。 2 調査対象 2.1 対象用語 今日では地震の発生や地震活動の推移を述べる際には、ほとんどの場合に「予知」または「予測」の語が使用される。そこで、この2 つの語について重点的に調査を行った。 一方で、気象分野では「予報」の語が一般的に使われている。さらに、これらの語に類似の意味を持つ語も多いことから、「予」から始まる漢字二字の熟語についても広く調査することとした。第3 章では、予知、予測に加えて、予想、予見、予言、予報、予覚、予断、予感、予告、予期、予察の10 語についても調査の対象に含めた。第4 章では、予知、予測を中心に調査したが、予想、予見等についても不十分な形ではあるが調査対象に含めた。なお、かつて気象庁では「予考」の語を使用したことがあるが、現在はほとんど使用されないことから、調査対象から除いた。 Reply ↓
「予知」と「予測」及び類似の語に関する調査
Research of “Prediction,” “Forecast” and Similar Signification Words
武藤大介,舟崎淳,横田崇
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/kenshin/vol76p189.pdf
**
1 はじめに
これから起きる地震について言及するとき、「地震を予知する」という表現や、「地震を予測する」という表現がある。想定東海地震に関しては、大規模地震対策特別措置法に「地震予知情報」の記述があることからも、「予知」の語が使用される場合が多く、気象庁においても地震防災対策強化地域判定会等においては、専ら「予知」の語を用いる。その例として、気象庁が地震防災対策強化地域判定会の判定結果を受けて発表する「東海地震予知情報」が挙げられる。一方で、地震調査研究推進本部では、「地震活動の予測的な評価手法検討小委員会」が設置され、ここでの成果は「予測」の語とともに用いられる傾向にある。
このように、地震に関して実際に「予知」と「予測」の使い分けがなされているほか、「予知」の使用を止めて「予測」に一本化すべきとの声も聞かれる(文部科学省アンケート調査結果)。このことは、「予知」と「予測」が全く同じ意味で理解されているわけでないことを示している。それゆえ、地震や地震活動を述べるに当たって、意味の違いを曖昧にしたまま、「予知」と「予測」の2 つの語を使用すると、使用する側と受け手側(一般の人々)で両語が持つ意味の違いに対する認識の不一致から、無用の混乱を招く恐れがある。
そこでこの際、「予知」と「予測」及び類似の語について、意味上の違いや言語学的位置付け、並びに両者の使用状況等を調査することとした。
2 調査対象
2.1 対象用語
今日では地震の発生や地震活動の推移を述べる際には、ほとんどの場合に「予知」または「予測」の語が使用される。そこで、この2 つの語について重点的に調査を行った。
一方で、気象分野では「予報」の語が一般的に使われている。さらに、これらの語に類似の意味を持つ語も多いことから、「予」から始まる漢字二字の熟語についても広く調査することとした。第3 章では、予知、予測に加えて、予想、予見、予言、予報、予覚、予断、予感、予告、予期、予察の10 語についても調査の対象に含めた。第4 章では、予知、予測を中心に調査したが、予想、予見等についても不十分な形ではあるが調査対象に含めた。なお、かつて気象庁では「予考」の語を使用したことがあるが、現在はほとんど使用されないことから、調査対象から除いた。
予知
予測
予想
予見
予言
予報
予覚
予断
予感
予告
予期
予察
予考