十分に成長できる環境が整わない限りは、うかつに芽を出さない。暑さ寒さをタネの姿で何百年も耐える。いざ芽生えたら、全体に光が当たるように、群落の端は背が低く、真ん中は背が高くなる。よりよい花粉を運んでもらえるように、色や香りの魅力を磨いて熱心な婚活を展開。同じ株の花粉では受粉しない。子孫を残したら、自ら潔く散る――どんな逆境でも与えられた命を生ききるための、驚くべきメカニズム。植物たちのあっぱれな一生。
植物は動き回わらないから下等」というのは、短絡的な考え方ですね。動かないのは、その必要がないからです。
植物の進化をごく簡単に言えば、「いかに水との縁を断ち切って生きられるか」ということに尽きます。水との縁を断ち切ることが進化という見方もできます。
植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ
by 田中 修
・ 冬の寒さを感じないと発芽しない。
・ 撫でて育てると、ふつうより大きくて美しい花が咲く。
・ 色香をつくり、虫を誘い込んで婚活。
・ 条件さえ整えば、タンポポ一株が直径1メートルにも育つ。
・ どうしても他の株から受粉できないときは、自分で自分の子どもをつくる。
・ 葉っぱで夜の長さをはかり、季節を正確に予測。
植物はすごい – 生き残りをかけたしくみと工夫
by 田中 修
アジサイやキョウチクトウ、アサガオなど毒をもつ意外な植物たち、長い年月をかけて巨木を枯らすシメコロシノキ、かさぶたをつくって身を守るバナナ、根も葉もないネナシカズラ。動物たちには真似できない植物のすごさ。