茨城県教育委員会

大学の授業が終わり、わたしを含め数人の友達とバス停で帰りのバスを待っていたときのことです。わたしの友達はポケットに入っていたタバコを吸い始めました。たわいもない会話が続いた後、その友達は吸っていたタバコの吸い殻をポイと座っていたベンチの前に何気なく捨てたのです。これは、日常的によくある光景とも言えます。ただ、いつもと違っていたのは、パス停に掃除のおばさんがいたということです。わたしは、この状況を考え、吸い殻を捨てた友達に「ねえ、まずいよ。掃除のおばさんがきれいにしているんだからさ。」と言ったのです。わたしの常識の範囲では、友達は「そうだな。まずいな。」と言って拾うものだと思っていました。
しかし、友達の答えはわたしの予想とは全く異なっていたのです。友達はこう言いました。「何言ってんだよ。俺たちがタバコを捨てているから、あのおばさんたちは掃除の仕事をしていられるんだよ。おれはいいことをしているんだよ。」私には、俺は何も悪いことはしていないと言っているように聞こえました。
彼は、そんなに悪い人ではありません。しかし、いつからか、彼の心の中に自分を正当化するいいわけをする習慣がついてしまったのではないかと思います。今でも、あのときの彼の悪びれることのない表情が目に浮かんできます。

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