>荒俣宏

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洞窟壁画は松明の火の「影」をなぞったところから始まる。プラトンは洞窟の比喩でわれわれ人間が見ているのは「イドラ」、幻影であり偶像であるという。イデアという光の叡智の影なのだ(東洋の「影」はフィギュアをも表す表裏一体、「お蔭様」という言葉で見る通り邪悪なイメージはない)。陰影法にイドラが活用され、絵画は三次元のリアリティを獲得した。影は「騙し絵」にも発展する。

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