現実に起こっていることはひとつ。でも、ひとりひとりが窓をあてがわれ、その窓から現実を見るとすれば、窓の数だけの真実が生まれる。
オリンピックを例にとれば分かりやすい。日本人の大半は、日本のメディアという窓からオリンピックを観る。だから、その全部を観たとしても、日本人選手のことしかわからない。中国人選手のことを知りたいと思えば中国のメディアに、フランス人選手のことを知りたければフランスのメディアに頼るしかない。全部を見渡せる窓など、どこにもない。
イランが米国のステルス性偵察機を捕獲したというニュース。米国の一部のメディアを通して知ればイランに対して腹が立ち、イランの一部のメディアを通して知れば米国に対して腹が立つ。事実とは別の次元で、いくつもの真実が生まれていく。
窓は巧妙に作られ、あてがわれる。一部のものだけに有利に働く仕組みの殆どは、どの窓からも見えない。そして私たちの多くが、窓から見えることだけに一喜一憂する。
虚無隙
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