うつつと夢
夢とうつつ
うつつの夢
ゆめうつつ
うつつと夢の境目は
はっきりしていれば 迷うこともないけれど
あいまいになると 本当かどうか不確かになり
うつつが夢と思えてきたり
夢がうつつを飲み込んでしまったり
すべての存在が うつつか夢かわからなくなる
あるものはないように思え
ないものがあるように思える
でもいずれにしても すべてがいつかはなくなる
なくなるものは 初めから
なかったのかもしれないと
そう思って君を見たら 君が目の前から消えた
君はうつつ 君は夢
でも 君はいる
確かにそこにいる
(sk)
第97作
Between Real and Dream
石牟礼道子
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=52765
と
小河原誠
https://kushima38.kagoyacloud.com/?p=15407
から何らかの刺激を受けて
(sk)
夢とうつつの境がはっきりしている歌:
うばたまの 夢になにかは なぐさまむ うつつにだにも あかぬ心を
- 清原深養父
恋ひわびて うち寝るなかに 行きかよふ 夢の直路は うつつならなむ
- 藤原敏行
ほととぎす 夢かうつつか 朝露の おきて別れし あかつきの声
- よみ人知らず
君や来し 我や行きけむ 思ほえず 夢かうつつか 寝てかさめてか
- よみ人知らず
かきくらす 心の闇に まどひにき 夢うつつとは 世人定めよ
- 在原業平
むばたまの 闇のうつつは さだかなる 夢にいくらも まさらざりけり
- よみ人知らず
夢とうつつの境界があいまいな歌:
うつつには さもこそあらめ 夢にさへ 一目をよくと 見るがわびしさ
- 小野小町
夢路には 足もやすめず かよへども うつつに一目 見しごとはあらず
- 小野小町
この世に現実はなく夢そのものだという歌:
夢とこそ いふべかりけれ 世の中に うつつあるものと 思ひけるかな
- 紀貫之
寝るがうちに 見るをのみやは 夢といはむ はかなき世をも うつつとは見ず
- 壬生忠岑
この世は夢かうつつか分からないという歌:
世の中は 夢かうつつか うつつとも 夢とも知らず ありてなければ
- よみ人知らず