立会川にボールを落とし
拾うために
下流に向かって歩く
川の流れは
小さな子どもが追えるほどに緩やかで
次の橋で拾おうと
子どもなりに必死で
気付けば西小山
諦めて帰る川の長いこと
呑川の桜の下を歩き
小学校の先生の説明を聞く
花の色 川の音
空の色 風の音
先生の説明は耳に入らず
列をなす友だちから離れ
気配を消し
気付けばひとり
学校に帰る道の心細いこと
石神井川沿いの荒れ地に
サッカーボールを探しに行き
蛇に出くわしたこと
渋谷川にも 目黒川にも
烏山川にも 北沢川にも
野川にも 仙川にも
神田川にも 千川にも
多摩川にも 隅田川にも
荒川にも 江戸川にも
思い出が詰まっている
なぜ思い出は
川に結びついているのだろう
数限りない どうでもいい思い出が
水に流されることなく
川の岸辺に残っている
暗渠になって川は消えても
思い出は消えずにいる
(sk)
第355作
Return to the Rivers
『立会川』碑文谷池と清水池に源を発し、西小山駅、荏原町駅、西大井駅、大井町駅、立会川駅付近を通り東京湾の勝島運河に注ぐ。
『呑川』桜新町を水源とし、深沢、八雲、都立大学駅、緑が丘駅、大岡山駅、石川町、雪ヶ谷、久が原、池上、蒲田を流れ、糀谷を抜けて東京湾に注ぐ。
『目黒川』池尻付近で烏山川と北沢川が合流し、中目黒駅、目黒の行人坂下、五反田駅、大崎駅、新馬場駅を抜けて東京湾に注ぐ
『烏山川』北烏山の高源院の池に始まり、芦花公園駅、八幡山、経堂駅の西から南、上町駅、若林駅、西太子堂駅、三宿を通り、池尻付近で目黒川になる。
『北沢川』松沢病院付近に始まり、経堂駅の北から東、豪徳寺駅、松原、代田、代沢を通り、池尻付近で目黒川になる。
『神田川』井の頭公園の池に源を発し東へ流れ、両国橋脇で隅田川に合流する。かつては平川と呼ばれ、現在の飯田橋付近から現在の日本橋川を通って日比谷入江に流れていたが、江戸幕府による度重なる普請と瀬替えが行われ、現在の流路となった。
『野川』東恋ヶ窪の日立製作所中央研究所敷地内の湧水を源とし、「ハケ」の南側を通って野川公園を通ってから調布の飛行場や深大寺をかすめ、柴崎と国領の間で京王線を、成城学園と喜多見の間で小田急線を横切り、二子玉川駅のあたりで多摩川に出る。
『多摩川』奥多摩湖から六郷まで、瀬と淵を繰り返しながら流れ下っていく勾配が急な川で、先史時代から崖線を形成するほどの「あばれ川」である。集落は豊富な水を求めて川沿いに広がったが、常に洪水に悩まされた。多摩川は土砂の流下と堆積が大きいため、氾濫のたびに流路が変わった。室町時代から多くの用水が引かれてきたが、洪水によって絶たれると耕作や飲水にも難儀した。
『玉川上水』かつて江戸市中へ飲料水を供給していた上水。1653年(承応2年)に羽村取水堰から四谷大木戸までの高低差92.3メートルの間に全長42.74キロメートルが築かれた。