インターネットと宇宙が膨張を続けている。でも、インターネットは爆発して、残るのが水野しずみたいなものと少しのスイッチだけ。宇宙は膨張を続けて、人類は太っていくね。潔癖なひとたちが作った街は、えぐいカラフルとファンタジーがまざりあって、朝でも昼でも夜みたいだ。きのう、きみがやってきて、どこかに帰っていった。いま、ここで息をしていること、立っていることに、価値を見いだされる人間なんてどれぐらいいるんだろうか。テレビが垂れ流すゆめや愛だけが、正しい概念。光の粒に変換された顔が、町中にちらばって会いに来るんだ。死んだ人も保存ができる。絵や言葉は保存が出来る。いま、生きている人がきみにできるのは、裏切りだけかもしれないね。
「水野しずの詩」 最果タヒ
宇宙について語り合ってもどうしようもない気がする。膨張する場所でみんなが、膨張してひろがっていくのに、無自覚。密度が下がる、生きているのに死んでいるのとあまり変わらなくなって、フラットだねってお互いをほめ合う。
インターネットと宇宙が膨張を続けている。でも、インターネットは爆発して、残るのが水野しずみたいなものと少しのスイッチだけ。宇宙は膨張を続けて、人類は太っていくね。潔癖なひとたちが作った街は、えぐいカラフルとファンタジーがまざりあって、朝でも昼でも夜みたいだ。きのう、きみがやってきて、どこかに帰っていった。いま、ここで息をしていること、立っていることに、価値を見いだされる人間なんてどれぐらいいるんだろうか。テレビが垂れ流すゆめや愛だけが、正しい概念。光の粒に変換された顔が、町中にちらばって会いに来るんだ。死んだ人も保存ができる。絵や言葉は保存が出来る。いま、生きている人がきみにできるのは、裏切りだけかもしれないね。
知らない人、きみが作るものより、きみがそこにいることを、好きになりたい、そうして勝手に幻滅をしたり、それすら心地よくなりたい。それを許してくれるひとがいるなら、それだけでもう、ぼくは安心して生きて、死んでいける。
「青色の詩」 最果タヒ
都会を好きになった瞬間、自殺したようなものだよ。
塗った爪の色を、君の体の内側に探したってみつかりやしない。
夜空はいつでも最高密度の青色だ。
君がかわいそうだと思っている君自身を、
誰も愛さない間、君はきっと世界を嫌いでいい。
そしてだからこそ、この星に、恋愛なんてものはない。
「詩集の詩」 最果タヒ
愛することしか信じていない人が作った街が、24時間光っている。雨の音が聞こえなくなるころ、ぼくはいつも死後につながり、誰かと手をつないでいた。さみしさを詩にすることは値段をつけることみたいだ。しずかに、と言ったきりどこかに行ってしまった誰かのために、あなたはずっと黙っていた。ぼくは、風の音を記憶するみたいに、あなたの言葉をただ、忘れないでいたい。
「生理ナプキンの詩」 最果タヒ
好きをかきあつめて冷やしたら、チョコレートになると思っていた
私の涙は真珠だと、絵本で教えてもらったのに嘘だった
比喩だけがきれいな世界でわたしは
女の子という言葉に守られて、化け物みたいにただれていく