免疫は、感染源から身体を守りそれを排除するだけでなく、移植臓器の拒絶や、生活習慣病・がんといった加齢関連疾患など、さまざまな疾患の発症や病態にも深く関与します。したがって、免疫学はあらゆる医学・医療の分野にとって重要な学問領域です。
本研究室では、免疫システムの司令塔として働き、がんやウイルス感染細胞の制御に中心的な役割を果たす免疫細胞「T細胞」と、その産生臓器である「胸腺」を中心に、以下のテーマに取り組んでいます。これにより、免疫学の基本原理の探究と、それを基盤とした免疫制御法を開発し、医学・医療に広く貢献することを目指しています。
- 胸腺ストロマ細胞(胸腺上皮細胞)の発生と機能の解明
- iPS細胞を用いた胸腺上皮細胞の誘導と胸腺機能の再構築
- 胸腺退縮メカニズムの解明と胸腺機能賦活化法の開発
- T細胞の加齢変化(T細胞老化)が加齢関連疾患発症と病態形成に果たす役割の解明
- ヒトT細胞老化の実態およびメカニズムの解明と制御法の開発
京都大学iPS細胞研究所
(Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University (CiRA))
未来生命科学開拓部門
濵﨑洋子
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/hamazaki_summary.html
制御性T細胞による免疫制御
堀昌平
東京大学薬学研究科
https://www.bs.s.u-tokyo.ac.jp/event/553.html
免疫系が「自己」に対する免疫寛容を獲得・維持するメカニズムを解明することは免疫学における最も本質的な課題の一つであり、またその破綻が関係する様々な疾患(自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー、がん、感染症など)を克服するためにも重要である。近年、制御性T細胞 (regulatory T cells; Treg) は免疫応答を負に制御することで様々な病的免疫応答を抑制し、自己免疫寛容と免疫恒常性の維持に必須の役割を担っていることが明らかにされてきた。そして、ヒトの自己免疫疾患IPEX症候群の原因遺伝子として同定された転写因子Foxp3がTregの発生・分化と機能において必須の役割を担うことが明らかにされ、Tregの研究が飛躍的に進んでいる。