本当か嘘かは知らないが、笹川良一が競艇場に集まった競艇ファンを前にして、
「諸君がギャンブルに狂っているあいだに、諸君の妻や子は泣いている。こんなところに来てカネを賭けるようじゃいけない」
と説教を垂れたという。
また、これも本当か嘘かは知らないが、寺山修司が「天井桟敷」に劇を見に来る客について、
「劇を見て喜んでいるようではいけない。劇を見るのではなく、劇を演じるように生きなければ、何の意味もない」
と言ったらしい。
どちらの話も作り話だろうが、笹川良一と寺山修司の真髄をついてはいる。
競艇ファンがカネを賭けるおかげで天下国家を語ることができた笹川良一。
「天井桟敷」に来る客のおかげで好き勝手なことができた寺山修司。
どちらも普通ではない。
(sk)
笹川良一の話を聞いたのは、もう50年以上前のこと。
寺山修司の話を聞いたのも、50年以上前のことに違いない。
50年以上前には、都市伝説がたくさんありえたのだと思う。