PNC, JNC, JAEA, IAEA

1960年代の高度経済成長期に、日本はエネルギー問題の活路を石油と原子力に求めた。しかし、原子炉開発の技術力のない当時の日本にとっては、国産の原子炉は遠い目標に過ぎず、安価な海外の原子炉を輸入した方が経済面においても負担が少ないため、国内の電力会社は、出来合いの輸入原子炉を次々と取り入れていた。さらに、核燃料である低濃縮ウランの製造には軍事機密が多く、これも海外からの輸入に頼るほかなかった。
エネルギー資源の乏しい日本は、発電しながら燃料を増やすことが出来る、高速増殖炉に着目した。実現すれば、ウランの利用率は60倍に向上し、準国産エネルギーとして利用できる。しかし、当時原子力開発を行っていた日本原子力研究所(原研)は組織が不安定な状態に陥っており、原子炉の提供会社から原子炉の試験運転を規制される程であった。そこで発足されたのが動力炉・核燃料開発事業団 (動燃) – Power Reactor and Nuclear Fuel Development Corporation (PNC) であり、高速増殖炉「もんじゅ」の開発など、最先端の原子炉開発にあたった。
高速増殖原型炉「もんじゅ」のナトリウム漏洩事故(1995年)や、東海村再処理施設アスファルト固化処理施設の火災爆発事故(1997)などの不手際のため、PNC は 1998年に廃止され、核燃料サイクル開発機構 – Japan Nuclear Cycle Development Institute (JNC) として改組された。その後、JNC は廃止された上で日本原子力研究所に統合され、新たに原子力研究開発を総合的に実施する独立行政法人日本原子力研究開発機構 – Japan Atomic Energy Agency (JAEA) となった。
JAEA は、その名前のとおり 国際原子力機関 – International Atomic Energy Agency (IAEA) の日本版だ。JAEA は原子力に関する研究と技術開発を行う法人、IAEA は原子力の平和利用をプロモートする国際機関。違うようでいて同じような活動をしている。IAEAの日本人職員のほとんどが、動燃/PNC/JAEAからの出向者であることからも、両者の関係が窺える。
原子力の平和利用の名のもとに、アメリカが戦略として推進してきたのが原子力発電所。IAEAを設立したのも、日本に原子力発電所を導入させたのも、その戦略の一環だったのだが、日本がいまだに原子力発電所にこだわるわけはわからない。

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