私たちは 水がなければ生きてはいけない
水は 私たちの暮しに欠かせない
でも 目に見える水だけが水ではない
雲になって空に浮かび
雪になって山を白く飾り
木に覆われた山の地下深くを流れ
崖の下から湧き出てくる水
その水が ここを流れていたはずなのに
水の流れは どこに行ったのか
水の音は まるで人の声のように
耳元で私に 待てと囁きかけた
何を 私は待てばいいのか
水の流れが戻るのを 待てばいいのか
流れは戻ってくるのか
アスファルトの下に
流れていた水が戻ろうとしている
音が聞こえる
戻ろうとしている水の音が
コンクリートをすり抜けて
消えていた水が帰ってこようとしている
音が聞こえる
帰ろうとしている水の音が
(sk)
第92作
Sounds of Flowing Water
『ここすぎて水の径』
by 石牟礼道子
と
『水の音』
by りりィ
にインスパイアされて。