最上敏樹

31643315湾岸戦争この方、バブルのようにくり広げられてきた「正義」の横行を、一度見直すベき時が来たのではないか。肥大した正義は問題の解決にならない。しかもその正義が第三者の判定を受けないなら、多国間の秩序は一層不安定になるだろう。そこにおいて、国連平和体制の基本原理であったはずの多国間主義も、「帝国」の行動を掣肘するような原理として働くとは限らないことが明らかになりつつある。残された希望は、それでも多国間の枠組みを活用して無益な戦争を避けようとする国々と、公式の多国間枠組みの外で戦争反対を唱える人々である。国際社会の「多数意思」は、いまや公式の多国間枠組みを見ただけでは判断できなくなっているのだ。

2 thoughts on “最上敏樹

  1. shinichi Post author

    夕暮れの風から――普遍的正義のためのノート
    I
    良心的兵役拒否国の証しのために――ポスト冷戦の安全保障の礎石を求めて
    拮抗する逆ユートピア
    はしかとポリオと国連改革
    受苦の無国籍性の前で――いまふたたび常任理事国入りについて
    人道主義的な国連のために
    国連平和体制が終焉する前に
    造反無理――この、理を尽くさぬ戦争について
    II
    「平和の償還」とは何か
    問われる存在の過渡性
    「脱国家化」にどう対応するか
    「終末」を生き続ける
    二つの人権侵害の衝突――日本大使公邸人質事件
    国連事務総長とは何か
    沖縄リアリズムの切なさ
    新たなルネサンスの時代
    テロと報復――9・11後の「寛容」
    アフガン暫定政権発足
    パレスチナと国際社会
    人権としての亡命
    悲しみの日々に、グールド
    イラク攻撃で失うもの
    「戦後復興」論議の混線
    許されない「国家のウソ」
    サイードを惜しむ 2003.11
    アフガニスタン戦争と民衆裁判
    イラク開戦一年――消えた正当化
    EU――戦争廃絶制度化を
    『父と暮せば』に思う
    「極端さの時代」を超えて
    ソンターグを惜しむ
    安保理改革と米国の反対
    III
    耐え忍ぶに値する落胆
    潰走のあとで――イラク攻撃を記憶すること
    日本国憲法のない世界
    二〇〇五年八月・ヒロシマ、そしてロウチさんのこと
    人道的であることと、平和的であること
    混乱の時代とリベラル・アーツと平和――エドワード・サイードの知識人論をめぐって
    IV
    平和学への誘い
    将来の世代のために
    善きタテマエを生き抜く
    『大地と自由』
    『パーフェクト サークル』
    『ノー・マンズ・ランド』
    この素晴らしき映画たちに
    「にもかかわらず」の希望――アンゲロプロス覚書
    陶酔せぬこころ――平和のために
    「あなたがたは、まだ血を流すほどの抵抗をしたことがない」――宮田光雄『十字架とハーケンクロイツ』
    バッコクラの残影――平和のしもべダグ・ハマーショルド

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