田中宇

どうやら世界の貧富の格差が拡大した背景には、ソ連が崩壊し、お題目だけでも平等社会を目指していた社会主義システムが世界中で見捨てられ、代わりにアメリカ流の自由主義競争社会システムが導入されたことも、ありそうだ。現在のアメリカ式システムが貧富格差を拡大させることは、アメリカ国内ですでに実証されているからである。
アメリカ流のやり方を世界に広げた人々の作戦が上手だったのは、「金持ちは庶民の敵だ」という人々の考え方を「頑張れば私も金持ちになれる」という夢にすりかえて、貧富格差につながりやすい経済の「自由化」を、世界中で進めることに成功した点だ。
そんな夢が世界の人々にばら撒かれ出したのは、ベルリンの壁が崩壊してからなのだろうが、あれから10年たち、富むのはもともと金持ちだった人々だけだ、ということが分かってきた。
かつて、貧富の格差に対して憤りを感じたとびとは、社会主義革命を目指したのだが、その社会主義はすでに「死語」になっている。今後、現状に対して矛盾や憤りを感じる人々が増えていったとき、かつての社会主義のように、現状を覆そうとする新しい思想が、また出てくるのだろうか。まだ、その輪郭は見えない。

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