川島博之

413072102X何が食料生産量を決めるのか?

  1. 環境 (農地面積、降水量、気温、土壌)
  2. 経済 (人口、需要、世界所得分布)
  3. 技術 (単収の改善、栽培適地の拡大)

(1)の環境に関しては、地球温暖化などが最も議論されているところです。例えば、農地を開拓するために森林が伐採されているなど、森林危機がよく話題になりますし、気温が上昇して土壌がボロボロになり、世界の農業生産が破壊されるとも言われています。また(2)の経済に関しては、食料サミットなどで「先進国は開発途上国に対して何をすべきか」といったことが頻繁に取り上げられています。(3)の技術に関しては、農業分野で技術革新は極めて速く、目を見張るものがあります。我々は「地球環境の変化や人口爆発で今後、世界の食料生産は深刻な危機に直面する」ということをプロトタイプのように聞かされますが、技術の進化と拡大が非常に速いため、21世紀に世界が食料危機に陥ることはないと、私は確信しています。

2 thoughts on “川島博之

  1. shinichi Post author

    将来社会を俯瞰した研究開発ビジョン研究会

    第6回講演

    世界の食料生産とバイオマスエネルギー ― 2050年の展望

    東京大学大学院農学生命科学研究科・農学国際専攻准教授

    川島博之

    http://www.ducr.u-tokyo.ac.jp/jp/materials/pdf/vision-wg/06kawashima.pdf

    地球環境の変化や人口爆発で、世界の食料生産は深刻な危機に直面すると言われて久しい。だが川島准教授は、「世界は食糧危機に陥らない」と言う。地球には現在の5倍、360億人もの人口を扶養できるポテンシャルがあるというのだ。これは根拠のない楽観論ではない。肥料の効率化や品種改良によってグリーン革命が進めば、収穫量の改善と環境負荷の軽減が実現するという。むしろ、食料資源をバイオマスエネルギーに転換する風潮に警鐘を鳴らす。

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  2. shinichi Post author

    21世紀、世界が食料危機に陥ることはない

    「何が食料生産量を決めるのか」――。これが今回の講演の一番のエッセンスです。2年間の調査・研究による結論は、次の3つの条件が複雑に絡み合った巨大な複雑系だということです。
    (1)環境(農地面積、降水量、気温、土壌)
    (2)経済(人口、需要、世界所得分布)
    (3)技術(単収の改善、栽培適地の拡大)

    (1)環境に関しては、地球温暖化などが最も議論されているところです。例えば、農地を開拓するために森林が伐採されているなど、森林危機がよく話題になりますし、気温が上昇して土壌がボロボロになり、世界の農業生産が破壊されるとも言われています。また(2)の経済に関しては、食料サミットなどで「先進国は開発途上国に対して何をすべきか」といったことが頻繁に取り上げられています。(3)の技術に関しては、農業分野で技術革新は極めて速く、目を見張るものがあります。我々は「地球環境の変化や人口爆発で今後、世界の食料生産は深刻な危機に直面する」ということをプロトタイプのように聞かされますが、技術の進化と拡大が非常に速いため、21世紀に世界が食料危機に陥ることはないと、私は確信しています。

    今回の講演の最も基本的な情報として、世界の土地利用と最大扶養人口というものがあります。最大扶養人口とは、地球が支えられる人口の最大値です。地球には約30億ヘクタールの陸地があり、その陸地の中で約15億ヘクタールを農地として使っています。実はそのうちの約3億ヘクタールが、現在休耕地です。3億ヘクタールは日本の農地の約100倍という広さです。また、森林伐採には抵触しますが、拡張可能面積は推定11億ヘクタールです。推定ですので20億~7億ヘクタールの範囲内で変動すると思われます。要するに現在、人類は農地として15億-3億=12億ヘクタールしか使っていませんが、15億+11億=26億ヘクタールが農地として使える面積であり、これは現在使っている面積の2倍以上という値です。

    単位面積当たりの収穫量を単収と言いますが、現在の単収は8トン/ヘクタールで、10トン/ヘクタールも難しくありません。江戸時代の単収は1.5トン/ヘクタールで、終戦直後は3トン/ヘクタールでした。単収が向上したのは、遺伝子操作などではなく、単なる遺伝子の掛け合わせによるものです。要するに、8トン/ヘクタール×26億ヘクタール=208億トンの生産量が可能ですが、そのうち野菜や果実を除き、穀物を栽培する割合を6割とした場合、穀物の生産量は208億トン×0.6=約125億トンということになります。穀物は米、トウモロコシ、小麦を指しています。現在、穀物の生産量は22億トンですから、今後、5倍以上増やすことが可能だと考えられます。

    1人当たりの穀物消費量は平均350kg/年で、日本並みとします。これは1日約1kgという値になりますが、我々自身が直接食べている量はもちろんずっと少なく、かなりの量が牛や豚のえさになっています。

    これらの値から地球の最大扶養人口を算出すると、約360億人という値が出てきます。現在、地球の人口は約67億人で、今後、増加しても91億~92億人が最高値であると考えれば、地球の扶養人口のポテンシャルは極めて高いということが言えます。

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