高知新聞

ここで暮らしていて大丈夫なのか。東日本大震災の津波被害を目の当たりにして、そんな思いを抱いた沿岸部の住民は少なくないだろう。
南海トラフの巨大地震で大きな津波被害が予測される県内の沿岸部で、住民が地域外の高台に移住する動きが広がりつつあるという。沿岸部の自治体では、震災の前に人口が流出する
 「震災前過疎
も懸念される状況だ。
県の津波浸水予測によると、10㍍以上の浸水が見込まれる市町村は19に上る。より標高が高い避難場所の確保など、自治体が防災対策の見直し・強化を急ぐのは当然だろう。企業の高台移転も出始めている。
むろん、危機感の強まりは住民も同じだ。子育て世代などの間に、安心して暮らせる場所を求めて別の自治体に転居したり、自宅の新築場所を高台に移したりする動きが広がっても不思議ではない。

One thought on “高知新聞

  1. shinichi Post author

    【震災前過疎】集団移転の道も探りたい

    高知新聞

    http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=299676&nwIW=1&nwVt=knd

     ここで暮らしていて大丈夫なのか。東日本大震災の津波被害を目の当たりにして、そんな思いを抱いた沿岸部の住民は少なくないだろう。
     南海トラフの巨大地震で大きな津波被害が予測される県内の沿岸部で、住民が地域外の高台に移住する動きが広がりつつあるという。沿岸部の自治体では、震災の前に人口が流出する「震災前過疎」も懸念される状況だ。
     県の津波浸水予測によると、10㍍以上の浸水が見込まれる市町村は19に上る。より標高が高い避難場所の確保など、自治体が防災対策の見直し・強化を急ぐのは当然だろう。企業の高台移転も出始めている。
     むろん、危機感の強まりは住民も同じだ。子育て世代などの間に、安心して暮らせる場所を求めて別の自治体に転居したり、自宅の新築場所を高台に移したりする動きが広がっても不思議ではない。
     そうした動きがさらに進めば、沿岸部の市町村にとっては新たな過疎化の要因になりかねない。自治体関係者らが危惧する「震災前過疎」を、過剰な心配とはいえないだろう。
     経済力や活力のある人が移転していき、さまざまな理由で動けない人たちが残るという事態も予想される。高齢者ら「災害弱者」が住民の多数を占めれば、いざというときの避難行動などに影響が出る恐れもある。
     中央防災会議の作業部会が昨年夏まとめた南海トラフ巨大地震対策の中間報告には、「住居等の高台への集団移転」が盛り込まれている。避難が困難な地域では住民の合意を前提に、集団移転は有効な方策とする。
     むろん、簡単ではない。東日本大震災の被災地での難航が示すように、住民の合意形成は困難が予想されるし、適地の確保が難しい自治体もあるだろう。造成などに必要な巨額の経費をどう確保するかという問題もある。
     東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城両県では、過去の大津波を教訓に集落全体で高台に移転し、難を免れたり、小さな被害にとどまったりした地区がある。先人の英断に救われたといってよい。
     津波からの減災対策は避難が中心になるとはいえ、それが難しい場合にはより安全な場所への集団移転の道も探っていく必要があるだろう。法整備や財政支援など国、県の強力な後押しが欠かせない。

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