大久保真一 「そろそろ・・・俺もう、限界ですか?」
寅田富士子 「出来れば入院をお勧めします」
真一 「入院すれば完治するわけじゃないんでしょう?」
富士子「そういう病気ですから」
真一 「下手すりゃそのままってこともあり?」
富士子「その可能性は充分にあります」
真一 「助かります。いつもスパっと言ってくれて」
富士子「大久保さんだから申し上げています」
真一 「・・・入院は・・・辞退します」
富士子「でも、入院して血圧をコントロールすれば、破裂のリスクが少しは抑えられます」
真一 「俺はもう、両親とも亡くなっています。病院で長く生きるより、やりたいことをやって
生きる方を選びます」
富士子「今、やりたいことをやれてますか?」
真一 「・・・かなり」
富士子「何か聞いてもいい?」
真一 「アハハ。恋ですよ、恋。それしかないでしょ?」
>大久保真一「見直したよ。いい年こいて何プラプラしてんのかと思ったけど、
いざとなったら常識あるじゃーん。。。なんて言わないよ」
宮沢朋美 「・・・」
真一 「結局は優等生なんだな」
朋美 「優等生 ・・・」
真一 「杉山くーんって、泣きながらむしゃぶりつくかと思ったのに、冷静に
奥さんに謝罪して、もう会いません宣言か。つまらない女だな」
朋美 「仕方ないでしょ。家族がいるのわかって好きになったんだから」
真一 「杉山の女房に負けてたぞ。あっちはなりふり構わず感情をぶつけて
きた。それだけ杉山を愛してるってことだよ」
朋美 「仕掛けないでよ」
真一 「あー、ムカムカしてきた。恋っていうのは、ものすごい破壊力がある
んだよ。人を変えてしまうんだ。その覚悟もなく、美味しいとこだけ適当に
味わって、傷つかないうちにさっさと手を引くなんてのは ・・・ ただの
薄汚い情事だっつーの」
朋美 「・・・」
朋美 『大久保君の言ったことは真実だった。確かに私は、恋の美味しいところ
だけを味わおうとしていたのかもしれない。でも、家族を、子ども達を捨て
ることは出来ない。それもまた、私にとって真実だった』
>http://www.dramanote.com/