矢板明夫

Jiu6400万元(約10億2千万円)を収賄したとして汚職の罪で起訴された中国の劉志軍元鉄道相(60)に対する初公判が今月上旬に行われた。
法廷が用意した椅子に座らず3時間半も立ち続けた劉被告は、涙を流しながら「罪を犯したことは育ててくれた党に申し訳ない」「私も中国の夢の実現に貢献したかった」などと反省の言葉を並べたという。
2年前に失脚した劉被告が、今年になってから習近平国家主席が全面的に打ち出したスローガン「中国の夢」を口にしたことが注目された。死刑判決を受ける可能性もある劉被告が、獄中で知った最新の政治流行語を使って習主席への忠誠をアピールし、「命乞い」しようという思惑があるのでは-とみられている。
劉被告が失脚した最大の原因は、胡錦濤前国家主席グループが主導する鉄道省解体案に反対し、一時廃案に追い込んだこととされる。中国の政治の世界で、高官が汚職で逮捕されるということはすなわち、権力闘争に敗北したことを意味するといわれる。中国メディアによると、劉被告は弁護士を通じて、就職活動をしている娘に対し「絶対に政治の世界に入るな」と言ったという。自身の無念さと共産党一党独裁体制下の政治の恐ろしさを、伝えたかったのかもしれない。

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