2012年7月、ヒッグス粒子と見られる新粒子の発見が報告されました。このニュースは瞬く間に世界を駆けめぐり、日本でも大きな話題となりました。
ヒッグス粒子を発見したのは、ジュネーブの素粒子物理学の研究所「CERN」にある、Large Hadron Collider (LHC) という加速器を用いた実験グループです。全周が約27キロメートルと、山手線のサイズに相当する巨大な加速器と呼ばれる装置を用い、3,000人以上の研究者やスタッフの努力の結果、とうとう発見に至ったのです。
ヒッグス粒子のような極微の素粒子の世界と、壮大な宇宙は深く関係しています。素粒子の研究は、ビッグバンのすぐ後の宇宙初期の姿と、その後の宇宙の姿を理解するために必須です。ヒッグス粒子は様々な素粒子の質量の起源となる粒子です。この発見を契機に、素粒子物理学は革命期を迎えたと言っても良いでしょう。
本セミナーでは、素粒子を理解してきた歴史や最先端の研究、大型の基礎科学実験の意義や派生技術、経済効果など幅広い話題を、素粒子物理学実験を専門とする東京大学大学院理学系研究科・教授の駒宮幸男氏に分かりやすくお話しいただきます。特に、我が国が有力なホスト国の候補となっている、次世代加速器「国際リニアコライダー」(ILC)の概要についてもその全貌をご紹介します。
「文化都心」をコンセプトとする六本木ヒルズのシンボルとして、森タワー最上部に誕生した「森アーツセンター」。世界の現代アートと触れ合える森美術館をはじめ、360度のパノラマが楽しめる東京シティビュー、そして、「知」の交流空間である六本木ヒルズクラブと六本木アカデミーヒルズ。それらが一体となった世界的にも類のない巨大な複合文化施設です。
「六本木アカデミーヒルズ」は、世界中の優れた人・技術・資金・情報が集積し、「創造」「交流」「発信」を可能にする”場”を恒常的に提供していきたいと考えています。大規模な国際シンポジウムや最先端技術を使ったプレスカンファレンス等を開催するフォーラム機能を有するとともに、メンバーのナレッジ・ワークを支える豊かな空間とサービスを提供する会員制ライブラリーも開設します。また、1987年の創設来展開してきた、第一線で活躍するビジネスパーソンを対象とするプロフェッショナルスクールをはじめ、すべての都市生活者を対象にさまざまなスクールも展開します。
駒宮幸男 (こまみや・さちお)
東京大学大学院理学系研究科・教授
東京大学素粒子物理国際研究センター・センター長 併任
1952年 横浜市生まれ
1976年 東京大学理学部物理学科卒業
1979年 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻・博士課程中退
同年 東京大学理学部助手
1982年 理学博士(東京大学)
同年 ドイツ・ハイデルベルク大学・物理学研究所・研究員
1986年 米国・スタンフォード大学・スタンフォード線形加速器センター・研究職員
1990年 東京大学理学部附属素粒子物理国際研究センター・助教授(在CERN)
1995年 東京大学素粒子物理国際研究センター・教授(在CERN)
1999年 東京大学大学院理学系研究科・教授
2000年 東京大学素粒子物理国際研究センター・センター長併任
専門分野:素粒子物理学実験
受賞:1995年 欧州物理学会特別賞(JADE実験グループとして)
著書:High Energy Electron Positron Physics 1988 World Scientific (共著)