福宮賢一

Fukumiyaグローバル化の進展によって、あらゆる情報が瞬時に世界に伝わり、政治、経済、文化などに大きな影響が及ぶ時代を迎えました。そうした激動と混迷を深める奔流の中で、私たちは、直面する深刻な課題を解決することと同時に、明るい未来を展望し、そこに到達する道筋とを切実に求めています。このような状況下で、問題の本質を的確に捉え、最適な解決策を見いださなくてはなりません。そのための論理的な思考力こそ、グローバル社会で求められる素養の一つです。問題の所在を明らかにする優れた分析力、また原因と結果の関係を見極め、解決策を導く卓越した立案力。これらは、人文、社会、自然科学の分野を問わず、理論を基礎から確実に学ぶことを通じて、体得されます。他からの指示を待つのではなく、自らの夢の実現にむけ「主体的に学ぶ」ことを心掛けてください。そのことが、「学問する」ということです。
世界中の人々と、「平和と豊かさ」を共有し、共生するには、専門知識や語学のみならず、異文化理解や人類愛への共感など、豊かな教養に裏打ちされた「人間力」が必要です。新たに出会う「他者」との交流は、皆さんの学生生活を豊かにします。旺盛な好奇心を持って、多くを学んでください悪戦苦闘、疲労困憊を恐れず、チャレンジしてください。この不透明な時代にこそ、強くしなやかな「個」を養い、夢の実現をめざす意義は大きいのです。

1 thought on “福宮賢一

  1. shinichi Post author

    2012年度 入学式 学長告辞「未来開拓力の育成をめざして」  

    by 福宮賢一

    http://www.meiji.ac.jp/gakucho/speech/6t5h7p00000ej621.html

     新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
     一般入試志願者数全国1位に象徴される激戦を勝ち抜き、栄冠を獲得した皆さんに、心からお祝いを申し上げます。併せて、ご父母、並びにご関係の皆様、心中のお慶び、さぞかしとお察し申し上げます。おめでとうございます。

     一方で、あの東日本大震災から1年が経過しました。被災された方々に、あらためて哀悼の意を捧げるとともに、お見舞いを申し上げます。

     さて、明治大学は、1881年に明治法律学校として創立されました。創立者は、鳥取県鳥取藩出身の岸本辰雄、山形県天童藩出身の宮城浩蔵、福井県鯖江藩出身の矢代操の3名です。この3人の出会いは、廃藩置県の直前の1870年、各藩から貢進生として選抜され、東京大学の前身である大学南校に学ぶところに遡ります。明治維新政府は、わが国の近代化を担う次の世代を育成するために、貢進生という名の下に、各藩から俊英を集めました。このとき、岸本19歳、宮城・矢代18歳でした。矢代操には、鯖江から東京に向かった記録が残っており、徒歩12日間の旅路であったとされています。時期は相前後しますが、岸本も宮城も、それぞれ同様の旅程を経て、上京したものと思われます。藩命を受けて、「青雲の志」を胸に、街道を一人歩む創立者たちの胸中に去来した思いは、いかなるものであったでしょう。失敗しては戻れないという切迫感と、やり遂げなくてはならないという強い使命感を持ちながらも、「果たして、出来るだろうか」という自信の揺らぎの狭間で、思い迷う自分があったことと思われます。その姿は、ちょうど今日の皆さんに重なるのではないでしょうか。
     彼らは、大学南校から、司法省法学校に転学し、外国人講師のボアソナードからフランス法を学びます。文字通り、刻苦研鑽に励んだことが伺えます。そして岸本と宮城は、フランス留学の機会を得ます。他方、矢代は病を得て、これを断念しますが、両名が法学士号を得て、留学から帰国するのを待って、3名で明治法律学校を設立します。このとき、いずれも、30歳に満たない青年でした。明治法律学校で、教育と経営にあたる一方、彼らは官僚としての活動も貫き、わが国の近代化を支えます。
     このように、創立者3名は、近代の法体系を「日本人の手で日本人に伝える」ことに情熱を傾け、明治維新期を駆け抜けた先駆者たちであったといえます。「権利自由」、「独立自治」という本学の建学の精神は、そうした気迫に裏打ちされているのです。

     ところで、現代の社会に目を向ければ、時代の要請とは一体何でしょうか。グローバル化の進展によって、あらゆる情報が瞬時に世界に伝わり、政治、経済、文化などに大きな影響が及ぶ時代を迎えました。そうした激動と混迷を深める奔流の中で、私たちは、直面する深刻な課題を解決することと同時に、明るい未来を展望し、そこに到達する道筋とを切実に求めています。このような状況下で、問題の本質を的確に捉え、最適な解決策を見いださなくてはなりません。そのための論理的な思考力こそ、グローバル社会で求められる素養の一つです。問題の所在を明らかにする優れた分析力、また原因と結果の関係を見極め、解決策を導く卓越した立案力。これらは、人文、社会、自然科学の分野を問わず、理論を基礎から確実に学ぶことを通じて、体得されます。
    このためにも、皆さんには1日でも早く、高校時代までの「生徒」から、大学の「学生」へと、意識を変えていただきたいと思います。人としての生き方を「問い、学ぶ」ところ、それが大学です。他からの指示を待つのではなく、自らの夢の実現にむけ「主体的に学ぶ」ことを心掛けてください。そのことが、「学問する」ということです。
     そして、グローバル社会において求められるもう一つの素養は、人として尊敬されることです。世界中の人々と、「平和と豊かさ」を共有し、共生するには、専門知識や語学のみならず、異文化理解や人類愛への共感など、豊かな教養に裏打ちされた「人間力」が必要です。明治大学には、日本全国、世界各地から、さまざまな価値観を持った学生が集まっています。その場において、新たに出会う「他者」との交流は、皆さんの学生生活を豊かにします。旺盛な好奇心を持って、多くを学んでください。

     時代こそ違うとは言え、創立者たちが「未来」を求めて立ち向かった困難は、「奮闘を通じて克服される」という点で、現代の皆さんの未来開拓に共通します。悪戦苦闘、疲労困憊を恐れず、チャレンジしてください。
     この不透明な時代にこそ、明治大学で強くしなやかな「個」を養い、夢の実現をめざす意義は大きいのです。新入生の皆さん、創立者3名の気概を胸に、「知の森、明治大学」に分け入って、大きく成長を遂げ、輝かしい未来を開拓してください。皆さんの未来に期待します。

     入学、おめでとう。
    2012年4月7日

    学 長  福 宮 賢 一

    Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *