自然界で自ら好き好んで走る動物は人間以外いないんです。それは、走るということが有害だからです。もちろん敵から逃げるとか、獲物を追う時は走りますが、あくまで短時間です。2時間も走っている動物はいない。
ある程度の負荷をかけるのはいいんです。骨粗しょう症の予防にもなります。息が切れない程度のジョギングはいいけど、人間ってエスカレートするでしょう。
タイムトライアルに夢中になって、4時間を切ったとか3時間を切ったとか熱中してやり過ぎますよね。若い人は精神力をつけるために多少はいいかもしれないけど、40歳過ぎてやるものじゃないです。体が下り坂に向かっている時に自ら痛めつけるというのは愚の骨頂です。
(走るよりは、自分のペースでの山登りなどを勧めていますね)
そう。リラックスもできるだろうし、景色を見ながらハイキング程度がいいんじゃないですか。
走る人は寿命が短いというデータも実際あります。走ったら元気になるんじゃなくて、元気な人が走ってるだけ。元気を浪費してるだけ。
何でも極端なことはよくないです。例えば、がんの食事療法でも、極端で厳格な菜食主義よりも、もう少し自然な食事にしたほうが治癒率は高いです。要は、運動も食事も生き方も、極端なことをすると短命になります。
40歳過ぎのランニングは「元気の浪費」
「患者リテラシー」の有無で健康寿命は決まる
秋山 知子
日経ビジネス
http://business.nikkeibp.co.jp/article/interview/20130910/253245/?P=4&rt=nocnt
http://ameblo.jp/kenkolabo/entry-11612968363.html
漫然と大病院に行き、漫然と薬を常用する「自立できないおいしい患者」は
「ダメ医者」を太らせ、病気とも縁が切れないという。医療の受け手向けに
情報発信に取り組む岡本裕医師に、健康長寿のために備えるべきリテラシーについて
聞いた。 (聞き手は、秋山知子)
岡本先生は、がん患者同士の情報交換や治療へのアドバイスを行うウェブサイト
「e-クリニック」を運営されて12年になります。患者の自立度が治療結果を
大きく左右すると以前から強調されています。患者の自立というのは、
どういうことですか。
岡本:病気が治るというのは、医者が治すんじゃないんです。自分で治すという
意志がないと治りません。患者自身が、何が正しく何が必要かを見極めていく
力をつけることが一番大事です。それが自立です。
医者というのは本来、活用するための存在なんです。医者の限界とか守備範囲を
知って、患者がある程度対等にならないと活用できません。コンピューターと
一緒です。いくら素晴らしくても使い方が分からなかったら使えないし、
そもそも万能でもないでしょ。
近著の『医者が教える 本当に病気を治す医者の選び方』(アスコム)では、
「ダメな医者」の見極め方をかなり赤裸々に解説しておられます。
特にドキッとしたのが「あなたはダメ医者にとって『おいしい患者』になって
いないか?」というくだりでした。私の母は70代ですが、同世代の知人が
10人集まるとそのうち8人は高血圧か高脂血症の薬を常に飲んでいて、薬なしで
生活している高齢者はかなり少数派のようです。
岡本:高血圧とか高脂血症、糖尿病など、いわゆる生活習慣病は本来は医者が
いなくても自分で治せるんです。なのに、ずっと途切れずに通院してくれて、
薬だの検査だのをずっと続けてくれるから医者にとっては実においしい患者なんです。
薬というのは一時の症状を抑え込むにはよいけど、それは病気が治ってるわけでは
ないです。根本的な解決ではなく、問題を先延ばししてるだけ。本来、高血圧の
薬をずっと飲みなさいと医者から言われた時に、違和感を感じるというの
が患者の自立ということだと思います。なんかおかしいなと。
日本の場合、患者が自立していないのをいいことに、医者が儲け続ける…。
岡本:社会全体がそういう方向になってしまってるので。必ずしもすべての
医者がそれでいいと考えているわけではないでしょうが。
自立していないおいしい患者は高齢者に多いのかもしれませんが、ビジネス
パーソンはどうでしょうか。特に現在の40代以下の人は若い頃からパソコンと
インターネットを使っているので、情報収集能力の高い人は多いと思いますが。
岡本:情報収集よりも、大事なのは情報を取捨選択する力です。何が正しいか
正しくないかという、見極めの力を持っているかどうか。
例えば日本人ってダイエットの情報が好きですよね。最近だと糖質制限ダイエット
など、はまっている人は多いですね。でも、それを長く続けたらどうなるのかなと、
それで健康になれるのかなと疑問に思うのが、リテラシーであり自立だと
思うんですよ。
「炭水化物を摂らないと、脂肪が燃えて痩せる」という説明で納得していましたが。
岡本:だとすると、人間の体は炭水化物を必要としないように進化しているはず
ですが、そうじゃないでしょう。
基本的に、極端なところに真実はないと思います。生物の体というのは曖昧に
できているので、糖を全く摂らないとか、不自然な極端なことをして健康に
なれるはずがない。自然から離れすぎると体に悪いんじゃないかと考えるのが
リテラシーでしょう。薬も同じです。一時しのぎに使うのはよいけど、常用すると
寿命を縮めます。
例えば風邪を引いて病院へ行くと、抗生物質を1週間とか10日分くれます。
2日で治ったからもういいかと思っても、抗生物質の血中濃度を一定期間維持する
ことが目的だから全部飲みきってください、と医師に言われます。
それはどうなんでしょう。
岡本:薬の効果を求めるなら、血中濃度を維持することは必要です。
ただ、今の抗生物質の使い方には問題があります。
例えば、広域抗生物質の多用です。狙った菌だけじゃなくて、体の中にいる
有用な菌まで殺してしまう。人間の体というのは一人で生きてるわけじゃなくて、
腸内細菌と共生して、その助けを借りながら生きてるわけです。
腸の中にペットを飼ってるみたいなもんですね。それまで殺してしまう。
だから抗生物質で下痢してしまうんですね。
岡本:下痢もするし、精神的な影響まで及ぼすとも言われています。
風邪ではなく、慢性病の場合の薬はどうなんですか。
岡本:さっきも言いましたが、薬は本来不自然なものですから一時しのぎには
いいが常用はよくない。薬そのものの副作用もよくないですが、常用していると、
体の自律的な能力をスポイルしてしまいます。
持って生まれた能力をつぶしてしまう。
そういうことをお聞きすると、本の中にある「薬のやめどきを言わない医者は
ダメ」というのが実感できます。確かに「この薬はもうやめましょう」と
言われることはほとんどないような気がします。
40歳過ぎたらランニングは勧められない
例えば、健康のためにランニングをしているビジネスパーソンが今とても多い
のですが、岡本先生はランニングは危険だと言われています。
岡本:基本的にそれもリテラシーの問題だと思うんですが、自然界で自ら好き
好んで走る動物は人間以外いないんです。それは、走るということが有害だからです。
もちろん敵から逃げるとか、獲物を追う時は走りますが、あくまで短時間です。
2時間も走っている動物はいない。
ある程度の負荷をかけるのはいいんです。骨粗しょう症の予防にもなります。
息が切れない程度のジョギングはいいけど、人間ってエスカレートするでしょう。
タイムトライアルに夢中になって、4時間を切ったとか3時間を切ったとか熱中して
やり過ぎますよね。若い人は精神力をつけるために多少はいいかもしれないけど、
40歳過ぎてやるものじゃないです。体が下り坂に向かっている時に自ら痛め
つけるというのは愚の骨頂です。
走るよりは、自分のペースでの山登りなどを勧めていますね。
岡本:そう。リラックスもできるだろうし、景色を見ながらハイキング程度が
いいんじゃないですか。
走る人は寿命が短いというデータも実際あります。走ったら元気になるんじゃなくて、
元気な人が走ってるだけ。元気を浪費してるだけ。
何でも極端なことはよくないです。例えば、がんの食事療法でも、極端で厳格な
菜食主義よりも、もう少し自然な食事にしたほうが治癒率は高いです。
要は、運動も食事も生き方も、極端なことをすると短命になります。