One thought on “三尾郁恵

  1. shinichi Post author

    豊饒の荒磯 息づく伝統   佐渡島の磯ねぎ漁

    by 三尾郁恵

    2013.08.25

    新潟県・佐渡島

    http://photo.sankei.jp.msn.com/essay/data/2013/08/25sado/

     断崖絶壁が続く新潟県・佐渡島の海岸線。日没を迎え夕日に赤く照らされた荒々しい岩は、太陽が水平線に消えると次第に暗いシルエットになり、深い紺碧(こんぺき)に溶け込んでいった。

     島の北西部、相川地区にある「尖閣湾」は佐渡随一の景勝地として知られる。近海は暖流と寒流が交差する格好の漁場。昭和7年、この地を訪れた天然記念物調査委員の脇水鉄五郎氏が当時、世界一の景観とされていたノルウェー・ハルダンゲル峡湾に匹敵すると称賛、命名したといわれる。沖縄県の尖閣諸島との関係はない特にないという。

     高さ約20メートルの岩壁に囲まれた周辺の磯場には海藻が繁茂する。6~8月は箱メガネを片手にサザエなどをとる「磯ねぎ漁」が最盛期。速い潮と冬場のしけの影響で島で育ったサザエは「角」が発達しているのが特徴という。

     一方、島南部の佐渡小木海岸では「たらい舟」を使った伝統的な磯ねぎ漁が、今も行われている。明け方朝日が昇ると、たらい舟に箱メガネや長さ6メートルほどのヤスを積んだ漁師たちが磯場に集まってくる。揺れるたらい舟をカイで巧みに操り、箱メガネで海底のサザエを探す。獲物を見つけるとカイをヤスに持ち替え、引っかけて拾い上げる。

     「小さな入り江が多い小木海岸には、小回りがきくたらい舟がいいんです」。舟をこぎながら菊池繁治さん(78)が教えてくれた。船乗りだった菊池さんは1万トンのフェリーの船長も務めた。定年後、地元に戻り半農半漁の暮らしを続けているという。

     今、佐渡でも高齢化が着々と進み、漁師やたらい舟職人は減少の一途。島のそこかしこで見られる磯ねぎ漁の風景は10年後、どうなっているのだろうか…。

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