日本国憲法, Constitution of Japan

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
Article 12. The freedoms and rights guaranteed to the people by this Constitution shall be maintained by the constant endeavor of the people, who shall refrain from any abuse of these freedoms and rights and shall always be responsible for utilizing them for the public welfare.

One thought on “日本国憲法, Constitution of Japan

  1. shinichi Post author

    『「である」ことと「する」こと』

    by 丸山眞男

     日本国憲法についても、第十二条に「自由や権利は国民の不断の努力の成果」であるとしている。自由や権利は過去からの多年にわたる獲得の努力の結果である。そして、未来にも努力を継続することによって自由を保持し続けなければならない。時効と同じように読み替えると、主権者であることに安住し権利を行使することをしなければ主権者でなくなる、権利を行使することによって主権者である、ということである。それはナポレオンやヒットラーで実証済みである。ヒトラーを首相に選ぶ所までは、国民は主権を維持していたかもしれないが、その後ヒトラーに独裁を許してしまった。

     自由についても、ある社会学者が「自由を祝福するのは容易だが、自由を擁護することは困難であり、自由を行使することはさらに困難である。」と言っている。祝福するのは自由であるという状態であり、すでに与えられたものである。擁護するとは、与えられたものを保持しようとすることでやや努力を必要とする。行使するとなると、一層の努力が必要になる。だからより困難になるのである。自由である状態に満足して祝福していると、いつの間にかその自由は中身を伴わない置物になってしまう。自由になろうとすることによって自由である、ということにある。近代の自由や権利は努力を厭う怠け者には厄介なものである。

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