毎日新聞

ShikuhinGisou国の有名ホテルのレストランなどで、メニューの表示とは異なる食材が使われていたことが次々と発覚している。メニューを高級感のあるものに「偽装」することで華やかなイメージを演出し、客を引きつけていた形だが、コスト削減を迫られる業界の事情が背景にあるとの指摘もある。一方で、メニュー表示に関する法律の規制があいまいなため「現場任せ」になっていた実態もある。
スーパーの店頭などで売られる食材の表示基準は、日本農林規格(JAS)法によって定められている。一方で、レストランのメニューにはJAS法は適用されず、表記方法は店舗に任されているのが実情だ。
土井久太郎 国際教養大学元特任教授は「安い材料を使うくらい、どのホテルでもやっているという業界特有のムラ社会の甘えがあったのではないか。周囲が気付いても言い出しにくい空気がまん延していたのだろう。業界全体の問題として改善に取り組むべきだ」と指摘する。

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    クローズアップ2013:相次ぐ食材偽装 「客を引きつける」営業優先メニュー表記 コスト削減も背景

    毎日新聞

    http://mainichi.jp/shimen/news/20131102ddm003040136000c.html

     全国の有名ホテルのレストランなどで、メニューの表示とは異なる食材が使われていたことが次々と発覚している。メニューを高級感のあるものに「偽装」することで華やかなイメージを演出し、客を引きつけていた形だが、コスト削減を迫られる業界の事情が背景にあるとの指摘もある。一方で、メニュー表示に関する法律の規制があいまいなため「現場任せ」になっていた実態もあり、消費者庁や業界団体は再発防止策の検討に乗り出した。

     「お客様を喜ばせようという『営業優先』だと、今回のようなことがまた起こってしまう」。9ホテルのレストランなど24店舗で2006年以降、48商品に表示と異なる食材を使っていた阪急阪神ホテルズ。問題発覚後、1週間で辞任に追い込まれた出崎弘・前社長の後を継ぎ、大阪市内のホテルで1日に記者会見した藤本和秀・新社長は自戒を込めて語った。

     「沖縄まーさん豚」「九条ねぎ」「霧島ポーク」−−。メニューでは産地を冠したブランド食材をうたっていたが、実際には別の産地の食材だった。そのメニューを作成していたのは各レストランの調理場ではなく、営業部門。全国でレストランなどを経営する会社幹部は「食材や味付けは外からは見えない。客を引きつけるにはメニューが重要で、非日常を売りにするホテルではイメージが優先される」と明かす。

     安価な食材が使われた背景には、コスト削減の影響も見え隠れする。阪急阪神ホテルズがトビウオの卵を「レッドキャビア」(マスの卵)と表記したケースでは、トビウオとマスで仕入れ値に3倍の開きがあった。ホテル業界は外資系の参入などで競争が激化し、再編も加速している。同社は利益目的での偽装を否定するが、「ホテル同士の合併を繰り返す中で、食材の一括購入などによるコスト削減が進んだ」と指摘するホテル関係者もいる。

     当初、搾りたてのジュースを「フレッシュジュース」として提供し、価格や表記を変えないまま容器詰めのジュースに切り替えていた「ザ・リッツ・カールトン大阪」(大阪市)。ホテル側は「ごみ削減にもつなげるためだった」と説明した。

     食材とメニューの食い違いはなぜ長年、見過ごされたのか。阪急阪神ホテルズの調査では、メニューを作る営業部門と調理現場の連携不足が明らかになったが、大阪市内のホテル幹部は「調理場は職人の世界。管理する側もなかなか立ち入れない」と打ち明ける。

     先月31日、近鉄ホテルシステムズなど2社は九つのホテルや旅館で不適切表示があったと公表。ミシュランガイドに3年連続で掲載された旅館「奈良万葉若草の宿三笠」(奈良市)では、豪州産の成型肉を「和牛」、ブラジル産鶏肉を「大和肉鶏」と表記するなど偽装表示は10品以上に及んだ。この旅館ではメニュー作成と食材の仕入れを一任された前料理長がブラジル産などと認識しながら虚偽表記したことを認めており、消費者を置き去りにした利益追求やずさんな管理が明らかになってきている。

     シェラトンホテルなどに勤めた経験があり、ホテル業界に詳しい土井久太郎(きゅうたろう)・国際教養大学元特任教授は「安い材料を使うくらい、どのホテルでもやっているという業界特有のムラ社会の甘えがあったのではないか。周囲が気付いても言い出しにくい空気がまん延していたのだろう。業界全体の問題として改善に取り組むべきだ」と指摘する。【石戸諭、田所柳子、藤田剛】

     ◇消費者庁、防止策検討

     消費者庁は各地のホテルで阪急阪神ホテルズと同様の食材偽装が相次いで発覚していることを受け、防止策の検討を始めた。現在進める阪急阪神ホテルズの調査結果が明らかになり次第、ガイドラインを作成するなどホテルのメニュー表示適正化に向けた取り組みを本格化させる方針だ。

     スーパーの店頭などで売られる食材の表示基準は、日本農林規格(JAS)法によって定められている。一方で、レストランのメニューにはJAS法は適用されず、表記方法は店舗に任されているのが実情だ。だが、メニューを見た消費者が「実際より良い」と勘違いするような表示をしていた場合は、こうした「優良誤認」表示を禁じる不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に抵触する可能性がある。

     消費者庁は阪急阪神ホテルズから報告を受け、メニュー表記に優良誤認がなかったかを調査中だ。優良誤認とするには、メニューの食材価格が、使用された食材より高い必要があるが、それぞれの料理の価格差で「程度に差がある」という。このため、ホテル側が表示と異なる食材を使っていたと公表したケースを一つずつ慎重に分析している。

     優良誤認が確認された場合は、▽問題の表示をやめる▽問題の表示を広く知らせる▽再発防止に取り組む−−ことを命じる行政処分を出すことになるが、全てが対象となるとは限らない。今回のように、表示の不備に気付いた企業が自主的に報告したケースでは、既に表示を取りやめ、周知徹底と再発防止策が取られていることが多く、行政処分の必要がないためだ。

     だが、ある関係者は阪急阪神ホテルズ幹部の記者会見での発言内容が二転三転したことを踏まえ、「ホテル側の説明に信頼性が欠ける」と指摘。「通常のケースと同様に処分が必要ないと言えるかどうかは、まだ分からない」と話した。

     業界団体は2020年の東京五輪も見据え、信頼回復に動き出した。国際観光日本レストラン協会は、加盟する221店のレストランにメニュー表示を再確認するよう通知。全国約250の有名ホテルが加盟する日本ホテル協会(東京都、会長・小林哲也帝国ホテル会長)は近く、加盟ホテルを対象にメニュー表示の在り方や景表法などを学ぶ講習会を開く。【大迫麻記子】

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