日本文化いろは事典

本来、「中元」とは7月15日のことで、古く中国では上元(1月15日)、下元(10月15日)と共に重要な祭日でした。これは道教の思想に由来します。この3つの元はそれぞれ3人の天神様の誕生日で、人々はお祝いにお供え物をしました。
一方日本には仏教の「盂蘭盆会」、つまり先祖供養の行事「盆」があります。この盆には、迎え火や盆踊り、送り火などの様々な儀式があり、その内の1つに「盆礼」があります。これは親や親戚、近所の人々の間で霊前に供える品物をやりとりする習慣でした。盆礼は一部の地域では生御霊とも呼ばれ、死者を供養すると共に、生きた魂も供養する考え方の下、物品を取り交わしたようです。
これが中国の中元の供え物と結びつき、現在のように盆の時期に贈り物のやりとりをするようになりました。この慣習は室町時代の公家の間で広まり、江戸時代になると庶民の間でも定着しました。
歳暮は、元来新年に年神へ供える物品を、年の暮れに本家や家元に持っていく行事でした。今でも新巻き鮭や数の子などを贈るのは、年神様に供えるお神酒の酒肴に由来するといわれています。これもお中元同様、江戸期に庶民層に普及したようです。

3 thoughts on “日本文化いろは事典

  1. shinichi Post author

    日本文化いろは事典

    http://iroha-japan.net/

    現社会はビジネスや娯楽シーンだけでなく様々な場面で国際化が進んでいます。共通の尺度がない国際社会の中では、相手の言葉や文化へ理解を深めることだけでなく、自国文化をきちんと知り、理解し、伝えることも大切です。

    当ウェブサイトでは「今さら人には聞けない」今も受け継がれている、もしくはちょっと昔まで当たり前だった日本の文化を紹介し、「日本人であることに誇りを持っている!」と胸をはって言える日本人としての自分に目覚めるきっかけを多く創る事を目標とします。

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  2. shinichi Post author

    (sk)

    世の中には、廃れたほうがいいものも多い。実際、廃れて困るものなど、なにもない。

    新しいものが次々と生まれ、なにも廃れないとなれば、この世の中は混みすぎてしまう。

    老人が早く退場することで世の中が進歩していくように、古くなった文化や伝統が廃れることで新しい文化や伝統が栄える。そう思えば、古くなってしまったものにしがみつくこともなくなる。

    藤田まさとの文章に、というよりは鶴田浩二の歌に、

    古い奴だとお思いでしょうが、古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。
    どこに新しいものがございましょう。
    生れた土地は荒れ放題、今の世の中、右も左も真っ暗闇じゃござんせんか。

    という一節があるが、「古いことを知る人ほど、新しいものを欲しがる」というのは、かなりの人たちに当てはまる。逆に、「古いことをなにも知らない人に限って、古いものを大事にする」というのも、かなりの人たちに当てはまる。こういうことを考えていると、たくさんの人たちの顔が浮かんできて、楽しい。

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