浅見徹

スパイスは、日本の食文化を支えるために、無くてはならない重要な食材の一角を担っております。戦後その使用料が急速に伸びてまいりまして、昭和37年4月に16社で全日本スパイス協会は発足しました。昭和53年インド政府のウコン、クミン輸出禁止の際には、カレー組合と共にミッションをインドに派遣し、日本の食卓からカレーが無くなるという事態を防ぐ活動もしてまいりました。
より安全な殺菌を求めて、厚生労働省への放射線照射による殺菌方法の許可申請、ポジテブリストへのスパイス業界としての要望書提出など、我々の歩んできた道のりは平坦ではありませんでした。
私は、今年の2月にフネで開催されたスパイスの国際会議に代表として出席しました。スパイし消費国が問題解消のために話し合うための会議ですが、この会議で生産国側から、「日本の安全性基準は世界で一番厳しいといわれて居るが、最近は米国でも厳しい基準を持つようになった。現在各国ごとに決めている安全性基準を統一してくれ」という要望がありました。
長期的には、アジア経済の発展で、農業生産従事者は減少し、生産性の低下は新興消費国の需要を賄えなくなります。労働コストが上昇するとスパイスの生産は辞めて、他の農産物に転換されます。プレミアムさえ払えばスパイスが手に入った時代は終わりました。生産国との協調を図り、協力していかないとスパイスの安定供給はなくなります。
古くはすき焼き・テンプラから始まった日本食も、寿司の普及などグローバル化が進んでいます。今日では、カレーやラーメンなど元々外国から伝来した料理を改良して、日本食として普及させています。これら日本の消費者の要求を適格に把握して普及させたものにもスパイスは不可欠です。
われわれは、今後も日本国内の需要者のニーズを捉え続けて行くことに加え、グローバル化に対応していかなければなりません。

One thought on “浅見徹

  1. shinichi Post author

    浅見徹
    全日本スパイス協会理事長
    日本スタンゲ(株)代表取締役社長

    ________________

    全日本スパイス協会
    http://www.ansa-spice.com

    All Nippon Spice Association (ANSA)

    一般消費者へのスパイスの普及拡大を更に図るため、スパイスの品質向上と安定供給を目指して活動を行います。そしてスパイスの流通活動を通して日本の国民が希求する、より豊かなそして安全、健康な消費食生活の実現に寄与し、更には世界全体の経済発展のために寄与する活動に繋がる努力を継続して行います。そのための具体的活動として下記の事業を行います。
    1.香辛料の普及宣伝
    2.市場及び品質の調査研究
    3.香辛料の斡旋、情報の交換
    4.会員に対する食品関係情報の収集と周知
    5.会員相互の親睦
    6.その他本協会の目的達成に必要な事業

    Reply

Leave a Reply to shinichi Cancel reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *