大西康雄

デジタル情報に接することにより、私たちは今まで観念的にしか理解できなかった情報コンテンツと情報メディアが異なるものであることを実感として理解するようになった。それに伴い、我々が書籍やレコードといった情報メディアを消費していたのは、実はモノとしてではなく、これらのメディアに載った情報コンテンツ(内容)であったことに、私たちは否応なく気づかされるようになった。今や私たちは音楽を聴くために、レコード店へ足を運ぶよりもインターネット上で mp3 ファイルを探すようになったのである。同時に、電子図書館概念の提起などにより、図書館においても所蔵していたものが書籍というモノではなく情報であることに気づかざるを得なくなった。
このような事態に伴い、図書館をめぐる新たな問題がでてきた。

  1. 情報センターと図書館の境界の揺らぎ
  2. インターネットをきっかけとした情報格差の縮小などの社会環境変化に起因する「図書館=読書館」という位置付けの揺らぎ
  3. 従来情報媒体がアナログであることを前提としていた図書館を巡る著作権保護のしくみの揺らぎ

1 thought on “大西康雄

  1. shinichi Post author

    図書館情報の社会的機能

    インターネット時代の図書館情報をめぐって

    by 大西康雄

    http://www2.yamanashi-ken.ac.jp/~yohnishi/research/lib-info.pdf

    書籍というメディアフォーマットにおいては、公共性の観点から私権を制約しながら情報提供する図書館という社会的制度が歴史的に成立してきており、その歴史的事実によって人々を納得させて来た。それに対し、マルチメディア資料に関しては、少なくともわが国においては、過去その歴史的資料性という観点から理解されて来ず、同時代で消費され終わってしまうものと考えられてきたため、公共性の観点から資料を長期間保存、提供して行く社会的責任という観念と、その責任を果たすための著作権の制約という観念も理解されがたいのであろう。その公共性原理をどこまで貫けるかが今後の図書館の課題となっていくのではないだろうか。

    Reply

Leave a Reply

Your email address will not be published.