松本保美

ある人は、実は w に投票したかったのだが、w に当選の見込みがなかったので、2番目に好ましい x に投票したのかもしれない。また、ある人は、実は x を最も支持していたのだが、政治はバランス・オブ・パワーだと考えているため、あえて y に投票したのかもしれない。こうなると、当選者は最も多くの人々に支持されたから当選したとは必ずしも言えない可能性が出てくる。これは、世の多くの人々が投票による多数決制度を民主的制度の根幹と捉えていることを考えると、投票制度の極めて重大な欠陥と言えるだろう。
だが、理論的検知からすると、もっと興味のある事態がある。 
。。。
国民の意思が反映される真に民主的な社会では、多数決制度は民主制にとって十分条件になる。一方、現在民主主義国家といわれている国の選挙制度では、多数決制度は政治体制を決定するための必要条件になっているにすぎない。

One thought on “松本保美

  1. shinichi Post author

    Matsumotoアローの不可能性定理: 枠組みの検討と応用可能性

    by 松本 保美

    アローの集団的選択理論は個人の持つ多様な選好を基に、個人の集合体としての社会の選好の集計方法、社会による選択ルールの決め方、そして社会が望ましい決定を行うようなメカニズムの設計方法のあり方を解明する理論体系である。本書は、この集団的選択理論から導かれる最も基本的な意味を明らかにし、現実問題への適用を考えることにより再検討する。


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