日本経済団体連合会 21世紀政策研究所 グローバルJAPAN特別委員会

グローバリゼーションの深化

  • グローバリゼーションの進展により、ヒト・モノ・カネが国境を自由に超える時代に
  • マーケットの拡大、生産性向上、安価な財・サービスの購入など、個人や企業がメリットを享受
  • 国際的相互依存が深まる一方、特定国のショックがグローバルに伝播(例:リーマンショック、東日本大震災によるサプライチェーンへの影響など)
  • TPPをはじめとするグローバルなルールの策定において国際協調が不可欠に
  • 貿易財に関わる製造業の賃金水準が国際的な収斂圧力に晒される

6 thoughts on “日本経済団体連合会 21世紀政策研究所 グローバルJAPAN特別委員会

  1. shinichi Post author

    先進国から転落の危機に立つ日本

    わが国は、名目GDPがおよそ20年前の水準に止まるという「成長なき経済」に陥っている。政府債務はGDP比約200%に達し、財政や社会保障が危機に瀕している。2011年3月には、未曾有の東日本大震災に見舞われ、長期的なエネルギー制約の問題も浮上した。さらに、わが国が位置する東アジア地域には、安全保障上の緊張も存在する。このような状況下で、わが国は今後、本格的な人口減尐社会に突入する。世界最速での尐子高齢化・人口減尐の進行は、経済社会全体に甚大な影響を及ぼす。このままでは先進国としての地位から転落し、極東の一小国に逆戻りしかねない恐れすらある。わが国は、人口減尐、超高齢社会への対応、成長力強化、財政・社会保障改革などの多くの国が抱える課題に直面するいわゆる「課題先進国」と言える。

    危機克服のチャンスは目の前にある

    21世紀はアジア太平洋の世紀と言われる。新興国が成長し、多くの人々が生活水準を向上させる。とりわけ、巨大な人口を有する中国は、リスクはあるものの今後も高い成長を続ける。米国も、先進国としては異例の人口増と経済社会のダイナミズムを維持し続ける。

    こうした中、わが国はいかにして、経済社会の活力を維持し、豊かな国民生活を実現していくかが問われている。人口減尐の影響を跳ねのけて経済成長を続けることは、並大抵の努力では困難である。しかし、わが国が、世界の成長センターであるアジア太平洋地域の中心という絶好のポジションにあることも確かである。

    まずはわが国が置かれた状況を虚心坦懐に直視した上で、山積する諸課題の解決に国を挙げて取り組む必要がある。デフレからの脱却は当面の課題ではあるが、中長期的には改革を進めることで経済の潜在成長率を引き上げてゆくことが本質的な課題である。国民一人ひとりが「がんばる」ことのできる環境を作るとともに、躍動するアジア太平洋地域の活力を取り込むことは不可欠である。これらにより、子子孫孫に課題を先送りせず、豊かで魅力ある日本を引き継いでゆかねばならない。振りかえれば、われわれの先人は、明治以来幾多の危機に直面し、これを乗り越えてきた。

    2050年に向けた総合戦略

    このような問題意識に立ち、21世紀政策研究所では、2050年の世界経済・日本財政のシミュレーションを行うとともに、わが国が取り組まねばならない課題を明らかにし、広く問題提起を行うこととした。2011年1月より、学界、経済界、官界の英知を結集し、経済・産業・雇用、税・財政・社会保障、外交・安全保障の各分野において、各界の有識者との議論や、海外調査等を精力的に行い、今般、報告書として取りまとめた。

    本報告書が、多くの人々の目に触れ、わが国の将来をめぐる国民的議論が活発化するきっかけとなれば幸いである。21世紀政策研究所としても、引き続き、本報告書を定期的に見直すとともに、取り上げた諸課題について具体的な検討を進めてゆく。同時に、国民各層との対話、内外への情報発信を積極的に行ってゆく所存である。もとより、「強い日本」を創るために政策を実行することは、政治に課せられた責任である。しかるに、わが国では5人連続で総理大臣が毎年交代し、政治が混迷している。与野党の政治リーダーには、本報告書の問題提起を真摯に受け止め、政策を前進させることを強く期待する。

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  2. shinichi Post author

    グローバリゼーションとITのさらなる深化

    (1)グローバリゼーションの深化
    ・グローバリゼーションの進展により、ヒト・モノ・カネが国境を自由に超える時代に
    ・マーケットの拡大、生産性向上、安価な財・サービスの購入など、個人や企業がメリットを享受
    ・国際的相互依存が深まる一方、特定国のショックがグローバルに伝播(例:リーマンショック、東日本大震災によるサプライチェーンへの影響など)
    ・TPPをはじめとするグローバルなルールの策定において国際協調が不可欠に
    ・貿易財に関わる製造業の賃金水準が国際的な収斂圧力に晒される

    (2)ITの深化
    ・インターネットやソーシャルメディアが経済社会の隅々まで浸透し、情報コストが限りなくゼロにまで低下、経済活動の円滑化に寄与
    ・新たな需要、新たに人と人とを結びつける社会的効果をもたらす可能性にも期待(例:三重県玉城町における高齢者のIT活用など、P56 参照)
    ・ITの深化に伴い、大量かつ多様な情報の入手・蓄積・伝達が容易になったが、それをいかに使いこなし、イノベーションや生産性向上に結びつけるかが経済成長のカギ
    ・高度スキルの人材が重視されるようになり、経済的格差や社会の不安定化が拡大する要因にも(中間層の溶解)。また、個人情報・機密(秘匿)情報を中心とする情報管理も大きな課題
    ・市民の情報共有が政治を動かす時代。国家・地域の不安定化の可能性(例:アラブの春)

    (3)人材育成
    ・グローバリゼーションとITの深化に対応したグローバル人材の育成が急務
    ・グローバル共通言語としての「英語」「IT」のリテラシー(能力)のみならず、歴史や文化、哲学など幅広い教養を持った人材を育成すべき
    ・グローバル人材育成のための教育制度・企業の人材育成制度の見直しが必要、東京大学は秋入学も検討

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  3. shinichi Post author

    中国・アジアの経済成長とリスク

    ・中国は2025 年には米国を追い抜き、世界最大の経済大国に

    ・2050 年までの中国経済の拡大規模は、現在の日本4 個分に匹敵

    ・中国の一人当たりGDP(PPPレート)は、2010 年比で約3 倍の18,908 ドルまで上昇

    ・中国は2020 年までに中間層が9 億2,000 万人、富裕層も1 億8,000 万人となり世界の消費を牽引※

    ・中国は日本の最大の貿易相手国であり、今後は最大の直接投資先になる可能性も

    ・人口減尐・尐子高齢化が進む日本は、中国の持続的な成長に協力し、共に成長していく必要

    ・中国経済は今後、投資主体から消費主体の経済への転換、インフレのコントロール、個人間・地域間の格差の是正、経済成長のための資源の確保、地球環境問題への対応、人口の高齢化への対応、国際ルールへの適合、世界経済の影響などの様々な問題・リスクに直面

    ・アジアが成長を持続出来れば、2050 年には世界のGDPの50%以上を占め、アジアの世紀が到来、その場合の一人当たりGDPは購買力平価ベースで現在の約6 倍、2011 年の欧州の水準に達する

    ・ただし、アジアの新興国が抱えるリスクを乗り越えられない場合、「中進国の罠(新興国が高成長を実現し、途上国から脱した後に先進国型経済への移行を果たせず、所得水準が中所得にとどまり先進国にキャッチアップできない可能性)」に陥るとの指摘もある

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  4. shinichi Post author

    経団連の研究機関、21世紀政策研究所(森田富治郎所長)は16日、2050年までの日本と世界50か国・地域の長期経済予測を発表した。四つのシナリオに基づいて日本経済の成長率や規模を試算したが、少子高齢化の本格化で日本は30年代以降にマイナス成長に転じ、先進国から脱落する、との厳しい見通しを示した。

    同研究所がまとめた「グローバルJAPAN 2050年シミュレーションと総合戦略」で、
    日本の人口や貯蓄・投資の動向、生産性の変化を予測して試算した。

    日本の生産性が他の先進国並みを維持する「基準シナリオ」では30年代からマイナス
    成長となり、41年~50年の国内総生産(GDP)成長率は平均マイナス0・47%となる。
    現在世界3位のGDPは4位と、中国と米国の約6分の1の規模となる。

    1人あたりGDPは世界18位で韓国(14位)に抜かれる。

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  5. Pingback: 九島伸一 | kushima.org

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