13 thoughts on “菅沼光弘

  1. shinichi Post author

    日本の裏社会、特にやくざについて

    ・ やくざ組織の人数と組別構成

     やくざ組織の構成員の数は、警察庁の発表によると8,9万人となっているが実際にはもっと多いだろう。

     上位21のやくざ組織で全体の90%以上を占めていて、1・六代目山口組、2・稲川会、3・住吉会の上位3つの組織で全体の70%以上、六代目山口組だけで50%以上のシェアになる。現在は、山口組が日本全国の裏社会を支配する趨勢にある。

     山口組のトップの司忍組長は今刑務所に入っていて実質的に山口組を統制しているのは、№2の高山であり、私は高山と懇意にしている。

    ・ やくざ組織の人種別構成

     やくざ組織の60%が同和、30%が在日、残りの10%はチャイニーズと同和でない日本人である。在日朝鮮人のうち3分の2が韓国、3分の1が北朝鮮となっている。北朝鮮からの覚醒剤を中心としたドラックを管理運用しているのは、北朝鮮系の暴力団である。

    ・ やくざ組織の収入源の変化

     1992年の暴力団対策法により、やくざ組織は犯罪者組織と認定され、その撲滅が開始される。同法により、やくざ組織の伝統的な収入源(賭博、ギャンブル、競馬・競輪に関するもの等)が完全に断たれる。

     そこで、やくざ組織が最初に行ったのが右翼・民族派団体としての活動である。やくざ組織が右翼政治団体として街頭宣伝活動などを行った。この街宣活動は、大変な収入になる。例えば、かつて竹下総理に「ほめ殺し」を行い大変な効果があった。

     もっと重要なことは、やくざ組織が一般企業に進出している点。産業廃棄物処理事業ほか、融資という形でIT企業などのベンチャー企業へ資金が流れている点である。

    ・ やくざが一般社会に浸透する理由

     やくざが一般社会に浸透する最大の理由は、日本の国民・社会にやくざを歓迎し、やくざに憧れ、やくざを肯定する風潮があることである。

     例えば、NHKでつい最近まで放送されていた「清水の次郎長」、これはやくざである。また、柴又の寅さんはテキヤであるが、今の警察の定義ではやくざである。さらに、岩下志摩が主演していた「極道の妻」は、大ヒットした。

     今日やくざは犯罪組織とされているが、やくざは日本の文化の一端を担ってきた組織でもある。神社のお祭り、相撲、芸能界、こういったものはやくざと混然一体となって日本の社会で歩んできた。

    ・ 暴対法の影響によるやくざ組織の把握の困難性

     暴対法は、アメリカFBIのマフィア撲滅を参考として、アメリカのものを機械的に適用したものである。これにより、警察官がやくざ組織と接触できないようになっている。例えば山口組では、警察官との接触を全構成員に対して禁じている。

     警察の白書などで、やくざ組織に関するさまざまな情報が出されているが、必ずしも正確なものではない。警察は暴対法の影響により、やくざの活動がわからなくなっているのが実情。

    ・ 結論

     やくざの活動と政治・経済・外交といった表の活動とは、複雑に絡み合っている。日本の政治・経済・外交の本当の姿を知るためには、裏社会にいるやくざの活動を知る必要がある。

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  2. shinichi Post author

    暴力団の事業形態の詳細について

     例えば、山口組五代目の時代、当時のトヨタ自動車は1兆円の純益があった。これに対して、当時の山口組は8,000億円の収入があった。この金が一般の消費には回らず消費者金融への融資などに回り、儲けた資金でベンチャー企業などに投資した。

     六本木ヒルズには色々な会社が入っているが、いくら資金が流れているかは、外界からは不透明である。しかし、色々なチャネルを通じて資金が流れているのは事実である。

    北朝鮮に行く資金について

     正直よくわからない。私が公安調査庁の調査第二部長であった時代93年、94年の時に第一次の核危機があり、真剣に調べた。北へパチンコ資金などの大量の金が流れ、それが核資金になってるのではないか?という疑問解明のため調べたが全貌はわからなかった。ただ、北の経済をずっと支えてきたのは在日の朝鮮人のお金であることは、間違いない。

     朝鮮総連と税務当局には妙な協定があった。北朝鮮人は税金を払わなくていい、朝鮮系の企業は税金を払わなくていい、いくら税金を払うかは組織と国税局で決めるといった時代がずっと続いてきた。

     さらに、新潟港にマンギョンボン号が来た。この船は、日本から北に帰国した人を運ぶのが目的だが、この船からはお金だけでなく工作機械、ブルドーザー、トラックといったあらゆるものが携帯品として運ばれた。日本の税関はいくら流れたのか全くノーチェックだった。

     やっと今、北朝鮮や在日の企業に対して色々な法律で対処できるようになった。

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  3. shinichi Post author

    公安調査庁の展望について

     私は95年に公安調査庁を退官しているが、そのころから公安調査庁の今後についての議論があった。

     公安調査庁の主たる目的は、日本共産党といった共産主義勢力の調査であった。その中で、私は国際問題専門で、日本共産党とソ連共産党、中国共産党、北朝鮮労働党、ベトナム共産党との関係について調査を行っていた。 かつては、日本共産党の方針のすべては、モスクワあるいは北京で決められていた。

     しかし、ソ連が崩壊し、国際共産主義運動が崩壊し、日本共産党の政治力が凋落した。行革の観点から、公安調査庁は解散すべきとの声が強まった。しかし、日本には対外的なインテリジェンス・サービスがないから対外的インテリジェンス・サービス機関として行革がなされた。

     ところが、オウム真理教の事件で、公安調査庁の全力がオウムの調査にまわされ、本来の任務である外国での仕事などができなくなった。これにより、対外情報機関としての能力が著しく低下した。
     
     幸いなことに北朝鮮問題は継続してやってきた。小泉内閣のとき、長官は常に小泉総理を訪れ拉致問題などのシークレットな情報を提供してきた。

     今日本で北朝鮮の第一次の情報を持っているカンパニーは、公安調査庁しかない。外務省にも警察にも何もない。これが日本の現状だ。

     安倍内閣になり、新しい情報機関を作ることが考えられている。しかし、人や金を揃えただけでは、情報機関はできない。フランスの情報機関やアメリカのCIAが優秀なのは、蓄積があるからである。私は、公安調査庁を基盤としてその業務範囲を広げることにより対処すべきと考える。公安調査庁と外務省と防衛庁とうまく調整して、日本の政策に対して正確なアドバイスできるシステムを構築すべきだ。

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  4. shinichi Post author

    政界とやくざとの関係→公安調査庁の取り締まり対象は?

     やくざは公安調査庁の取り締まり対象ではなく警察の対象である。公安調査庁は、右翼・民族派団体などの政治団体を調査している。今の右翼・民族派団体は、資金的関係によりほとんどすべて100%と言っていいほどバックグランドはやくざである。

     私がやくざと付き合えるのは、犯罪組織としてではなく政治団体として付き合うからである。警察はやくざ組織を犯罪組織とみるので付き合えない。

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  5. shinichi Post author

    暴力団の投資活動について

     やくざ組織の経済活動は、取り締まりの法律との関係で、非常に巧妙である。

     例えば、私は、山口組№2の高山さんと話す機会があるが、高山さんは名古屋出身、名古屋といえばトヨタ自動車。トヨタ自動車を含めたすべての会社は仕事をする上で、やくざを必要としている。日本の社会では、トラブルシューターとしてだけでなく、交渉をするとき、モノを購入するとき、その他で、やくざが必要だ。名古屋駅前に大きなトヨタのビル、中部国際空港の建設、何のトラブルもなく実にスムーズに運んだのはやくざがいたため。

     だが、やくざとトヨタとの関係は、どんなに調べても証拠が出てこない。証拠がないからといって想像ではなく、事実だ。

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  6. shinichi Post author

    右翼の街宣活動に資金提供している人について

     ほめ殺しで一番有名な事例は竹下さんに対するもので、竹下さんの疑問は、右翼団体の目的は何か、バックに誰がついているのか?といったものだった。この右翼政治団体は四国の小さな団体で、竹下さんは、暴力団とつながりがあるといわれる国会議員を次々に四国に送り、頭を下げさせ、バックに誰がいるか探った。竹下さんの頭の中には山口組があった。その後、竹下総理の周辺にはそうした臭気が充満した。

     中川さんに対しては、中川さんは世界で一番女性に親切な政治家だ、などといってほめ殺している。中川さんは大変だ。

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  7. shinichi Post author

    統一教会と北朝鮮・暴力団の関係について

     統一教会と北朝鮮は深い関係にある。教祖の文鮮明は北朝鮮出身で金日成主席の時代には大変友好的だった。ただ、今の金正日とは必ずしも良い関係でないと思われる。

     コリアゲート事件のパクトンスンは何度も日本に来ている。何しに来ているのかと尋ねると、北の対韓国活動のボスであるキムヨンスンに頼まれたと言っていた。このパクトンスンは、あまり知られていないが統一教会と非常に深い関係がある。

     したがって、金日成時代ほど深い関係はないが、統一教会は北朝鮮のために今も仕事をしてると思われる。

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  8. shinichi Post author

    外国の諜報活動に対する日本の脆弱性について

     私もカウンターインテリジェンスの仕事をしてきたが、スパイ天国という言葉があるが脆弱なんてものじゃない、何もない状況だ。

     原因の1つは関係する法律の不備があるが、もっと大きな問題は日本国民の意識にある。つまり、この国を守るのは誰なのか、この国を守るのは我々なんだという意識が、残念ながら日本国民には少ない。

     北核実験のときにもライスさんが来日し、「我々が日本を守る」と言った。彼女は、日本に独自に自分を守る核兵器を開発してもらったら困るということを強調したわけだが、日本国民も色々な統計を取ってみると、「日本はアメリカに守ってもらうほかない。それが一番幸せな道だ」となった。

     自分の国を自分で守るという心がない国に秘密なんかない。本当に。何でもいいんです。だってアメリカが守ってくれるのですから、なにがあったって。残念ながら、極端に言えばそういう状況なんです。

     警察も我々も一生懸命やってきたが、我々の最大の脅威である中国に対して様々な物資がいっている。自分で自分の首を絞めている。レーニンのいった言葉と同じである、残念ながらそういった状況だ。

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  9. shinichi Post author

    国益のための情報共有の重要性について

     どの国でも同じ問題がある。アメリカでは、CIAとFBIはものすごく仲が悪い。日本も公安調査庁と警察では、仲の悪い部分もある。日本の行政の欠点は、一般的に縦割り行政もしくはセクショナリズムにあると言われる。人には教えない。仮に、我々が山口組の情報を警察に与えても警察は動かない。自分で得た情報ではないからだ。インテリジェンスのシェアリングの問題は重要だが難しい。

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  10. shinichi Post author

    朝鮮総連の取り締まりについて

     超総連自身、警察当局や税務当局からの干渉を恐れている。朝鮮総連が一番努力しているのは、組織の防衛である。

     現実問題としては、理由がなければ総連に対して法的措置がとれない。理由というのは総連が法律を破っているという証拠であり、これがなければ何もできない。今直ちに警察当局が何かをやる可能性はほとんどゼロに近いと思う。

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  11. shinichi Post author

    経済制裁によって覚醒剤が来なくなることの影響について

     北朝鮮からの覚醒剤のシェアは30%とか40%とか言われている。経済制裁で北の船舶の入港を全面的にシャットアウトした。東京の覚醒剤市場は高騰した可能性があるが、北の覚醒剤は中国、東南アジア、台湾を経由するものが多い。そんなに値段は上がらないだろう。

     北朝鮮からの覚醒剤は、船舶で運ばれてくる。日本海のどこかに覚醒剤を沈め、それを日本の漁船などで回収する。GPSがあるので、最近は100%回収できる。あるいは、船を横付けして運び込む。

     最大の問題は、覚醒剤使用者が若年化してる点だ。中高生の間で広がっていて、子供は安くなければ買えない。船を止めるなら、相当量の流入を止めることが可能であると考える。

     船の入港を止めるのは、覚醒剤以外に効果がある。これからの季節、北朝鮮からマツタケやカニが入ってくるが、これらがストップすることは北朝鮮にとり微々たるものだ。それより船の往来を禁止することにより、その他の効果が多いと考える。北の経済への影響がどれ位かはわからないが、軍や工作機関の活動に影響が出てくるのではないかと思う。

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  12. shinichi Post author

    KAZUHIRO.SWIM
    氾濫する情報の海を上手に泳ぎたい
    http://blog.livedoor.jp/kazuhiro_swim/archives/50391703.html

    2006年10月19日に行われた外国特派員協会における講演です。公演時間は約1時間と長いですが、その内容が興味深く飽きさせません。講演は2部構成になっていて、最初の15分間は菅沼氏によるやくざ組織の説明、その後に、外国人記者との質疑が行われました。

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