中根千枝

日本人は、論理よりも感情を楽しみ、論理よりも感情をことのほか愛するのである。少なくとも、社会生活において、日本人はインテリを含めて、西欧やインドの人々がするような、日常生活において、論理のゲームを無限に楽しむという習慣をもっていない。

論理のない世界に遊ぶ・・・ということは外国人にとっては一つの芸当とみえるかもしれない。

しかし、この論理のない世界というものを、そして、それを社会生活のなかで、これほど機能させるということを、そうした慣習を共有しない人たちに説明することは実にむつかしい。
日本人、日本社会、日本の文化というものが、外国人に理解できにくい性質をもち、国際性がないのは、実は、こうしたところ—論理より感情が優先し、それが重要な社会的機能をもっているということ—にその原因があるのではなかろうかと思われる。

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