Ron Sender, Shai Fuchs, Ron Milo

We critically revisit the ″common knowledge″ that bacteria outnumber human cells by a ratio of at least 10:1 in the human body. We found the total number of bacteria in the ″reference man″ to be 3.9·1013, with an uncertainty (SEM) of 25%, and a variation over the population (CV) of 52%. For human cells we identify the dominant role of the hematopoietic lineage to the total count of body cells (≈90%), and revise past estimates to reach a total of 3.0·1013 human cells in the 70 kg ″reference man″ with 2% uncertainty and 14% CV. Our analysis updates the widely-cited 10:1 ratio, showing that the number of bacteria in our bodies is actually of the same order as the number of human cells. Indeed, the numbers are similar enough that each defecation event may flip the ratio to favor human cells over bacteria.

3 thoughts on “Ron Sender, Shai Fuchs, Ron Milo

  1. shinichi Post author

    「体内細菌は細胞数の10倍」はウソだった
    細胞30兆、細菌40兆とする新たな推定値

    by Michael Greshko

    translated by 堀込泰三

    National Geographic 日本版

    http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/011400003/

     人体は微生物のるつぼだ。何兆もの細菌がすみ、健康維持に貢献している。その重要性はあまたの研究で明らかになっているが、一方で長年まことしやかに語り継がれている言説がある。「人体に住む細菌の数は、ヒトの細胞数の10倍」というものだ。

     しかし、新たに発表された推定値では、体内の細胞と細菌は近い数であるという。

     論文投稿サーバー「BioRxiv」に公開された論文によると、イスラエル・ワイツマン科学研究所のロン・ミロ氏率いる3人の科学者チームは、平均的な男性の体は30兆の細胞でできており、約40兆の細菌が含まれることを発見した。細菌の大半は、消化管内に生息している。(参考記事:「細菌は40万Gの重力でも生き延びる」)

     つまり、細胞数はちょっとしたことで細菌数を超える可能性があるということだ。たとえば排便によって数兆の細菌を排出した直後は、実際に細胞のほうが多いこともあるだろう。

     10倍という比率は語呂がいいため、いたるところで引用されている。報道機関によるさまざまな記事で見られるだけでなく、科学者もよく引用しているほどだ。ではこの数字、どこから出てきたのだろうか。

     2010年、研究者モセリオ・シャクター氏とスタンレー・マロイ氏が、その謎の究明に取り掛かった。その結果、優秀な微生物学者ドウェイン・サベージ氏が1977年に出したレビューに端を発していることがわかった。

     サベージ氏は、変わり者で有名な研究者T. D. ラッキー氏が行った細菌数の推測値と、教科書に載っていた妥当だが裏付けのないヒトの細胞数を組み合わせて、10倍という比率をわり出した。その後、科学者はサベージ氏のラフな言説をあたかも真実であるかのように信じてきた。

    「10倍の言説は、都市伝説にありがちな特徴をすべて備えています」と言うのは、ノルウェー・ベルゲン大学のオーレ・ビョルン・レクダル氏だ。根拠のない学術的主張が流布する過程について研究しているレクダル氏は、このように付け加えた。「非常に多くの著者が、読者に知識を伝達する前に原典に当たって信頼性を確認するという原則をないがしろにしています」(参考記事:特集「科学を疑う」)

    男性の便と赤血球から推定

     過去の心もとない細菌数の推定値を改善するために、ミロ氏らは平均的な男性の結腸の大きさ(409mm)と、便1グラム当たりの細菌数に注目した。ヒトの細胞数に関しては、私たちの細胞の多くが赤血球であるという事実を利用して計算した。その結果は、これまでに報告されている最良の推定値とほぼ一致している。

     今回の研究はまだ他の科学者によるレビューを受けていないが、この結果によって細菌と細胞の比率に関する議論が終わるとは思えない。ヒトの細胞数を推定するのは、実に難しいことで有名なのだ。しかも今回見積もった比率は平均的な細菌数に基づくものであり、実際の細菌数は個人差が大きい。そのため、数の比較ではない別の指標を使うべきではないかという議論も出ている。

     正確な数がどうであれ、細菌が私たちの健康に欠かせないことに変わりはない。数が10倍でないからと言って、細菌の重要性が10分の1になるわけではないのだ。

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  2. shinichi Post author

    日経ヘルス&メディカル

    体質も変える腸内細菌って何? 重さは1.5キロにも
    働きもののカラダの仕組み 

    by 北村昌陽

    http://style.nikkei.com/article/DGXNASFK1400Q_U4A410C1000000/

    お腹のために、ヨーグルトや納豆を食べている人は多いはず。より正確にいうと「腸内細菌のため」ですね。健康を支えるキーワードとして、今やすっかりおなじみの腸内細菌ですが、意外と知られていないことも多いようです。腸内細菌の素顔に迫ってみましょう。

     「腸内細菌」という言葉を耳にしたことがある人は少なくないはずだ。腸の中にビフィズス菌、乳酸菌など無数の細菌がすみついていて、私たちの健康に大きな影響を与えている。お通じ対策はもちろん、最近では美肌やダイエットにも「腸内細菌の改善を」といわれるほどだ。

     でも、みんなが常識と思っていることほど、案外基本的なことが抜けているもの。そこで「知ってるようで実は知らない腸内細菌の実像」を探っていこう。ガイドは、日本の腸内細菌研究の第一人者、理化学研究所の辨野義己(べんの・よしみ)さんだ。

     まず、腸内細菌ってどのくらいいるのだろう?

     「10年ほど前までは、1人の腸の中に100兆個といわれていました。でも今ではその5~10倍、500兆~1000兆個はいると考えられています」

     …ちょっと待って。いきなりえらく増えたけれど、何が変わったのですか?

     「以前は、ウンチを培養して調べていたんです。でもその後、腸内細菌の80%以上は培養しても生きられないとわかりました。腸の中は無酸素状態。外界では育たない菌が多いのです」

     へぇ~、腸の中には酸素がないのか。辨野さんによると、培養をせずに便の中から細菌の遺伝子を同定する方法が確立されたため、近年、新しい菌がどんどん見つかっているという。

     ちなみに人体の細胞総数は60兆個。これでも大変な数だが、腸内の細菌数はこれより一ケタ以上多いわけで、もう果てしないほどの数なのだ。菌の種類も以前は100種類程度といわれていたが、今では500~1000種と見積もられている。

    ■ 菌の総量は1.5キロ 肝臓並みの重さ

     菌は、腸のどこにすみついているのだろう?

     「腸の内視鏡写真で粘膜がヌメッとしていますね。あのねばねばが菌のすみか。菌の総量は1人分で1.5キロほどです」

     この重さは肝臓とほぼ同じ。肝臓は人体最大の臓器とされているが、腸内細菌の総重量はそれと同等だ。また肝臓は、数百~数千種類の化学反応を行っているといわれるが、腸内細菌も全部で1000種類もいるわけで、同じぐらい多種類の働きをしている可能性が高い。つまり腸内細菌は、肝臓に匹敵する体内最大級の“臓器”なのである。

     菌の食べ物は、腸内を進んでくる消化物。菌ごとに好みが決まっていて、特定の菌はほぼ特定の成分を食べる。その菌の排泄物は別の菌の食べ物になる。その排泄物をまた別の菌が食べ、それをまた次……といった具合に、1000種の菌は食べ物の連鎖でつながっている。

     連鎖の過程で発生する成分の一部が腸から吸収されて、体の健康に影響を与える。良い影響なら「善玉菌」、悪い影響なら「悪玉菌」と呼ばれるわけだ。

     「このほか、“日和見菌”と呼ばれるグループもいます」。日和見菌はその名の通り大勢に流れる性質の一群で、善玉菌が強いときはおとなしいが、悪玉菌が強くなると一緒になって悪さをし始める。数の上ではこれがもっとも多く、全体の約7割を占める。「3群の比は2対1対7ぐらいが理想。そんな状態なら、黄色がかったバナナ状のウンチがつるりと出ます」

    ■ 菌バランスによって“体質”が変化する

     菌のバランスは、代謝や免疫といった体の機能に大きな影響を与える。「例えば肥満の人には、特定の菌が多いことがわかってきました。“太りやすい体質”が、腸内細菌に左右されている可能性があるのです」

     遺伝子によって決まる体質と違い、腸内細菌は流動的。食べ物などによってバランスが大きく動く。つまり、体質が変化する。ここが、肝臓のような内臓との違いだ。ヨーグルトや納豆を食べる意味もここにある。

    「たくさんの人の腸内細菌を調べてデータベース化すれば、菌の種類と病気の関係がわかる。菌を制御して病気を防ぐ方法も見えるはず」。そんな「腸内細菌プロファイル」の構築を目指して、辨野さんは今日も便のサンプルを調べている。
     

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