2 thoughts on “龍安寺

  1. shinichi Post author

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    当寺院の誇るべき文化遺産の一つである石庭には大きな四つの謎が秘められています。
    これらがかもし出す神秘的な一面は、本来の美しさをより一層際立たせている理由の一つ。
    謎解きをしながら石庭を眺めてみると、いつもと違った顔を覗かせてくれるかもしれません。


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    刻印の謎

    永遠のミステリー

    作庭は室町時代と推定されるが、作者は誰か。

    いわく、開山である義天玄承(ぎてんげんしょう)、寺を建立した細川勝元、絵師の相阿弥、勝元の実子である政元、茶人の金森宗和…など様々な諸説がある。
    なかでも相阿弥説が長く信じられてきたが、それも確証はない。

    そこで注目されるのが、石庭の裏に刻まれた「小太郎・口二郎」の刻印。

    しかし、これさえも作者と判定するには憶測の域を出ない。
    作者は依然、謎のままなのである。


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    作庭の謎

    まさに芸術作品

    わずか七五坪の白砂の空間に、大小一五個の石を配置。
    この極端なまでに抽象化された構成に、作者は一体なにを託したのか。

    一般には「虎の子渡しの庭」「七五三の庭」と呼ばれる。
    あるいは、大海や雲海に浮かぶ島々や高峰、「心」の字の配石、また中国の五岳や禅の五山の象徴とも。

    もとより作者の意図は今や不明。
    禅の公案にも見えるが、ただ鑑賞者の自由な解釈と連想にゆだねるしかない。


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    遠近の謎

    高度な設計・演出手法

    一見水平に見える石庭だが、東南角(方丈から見て左奥)に向かって低くすることで、排水を考慮した工夫が施されている。

    また、西側(方丈から見て右)にある塀は、手前から奥に向かって低くなるように作られている。
    ここにもまた、鑑賞者の錯覚を利用した心憎いばかりの演出が見られる。
    視覚的に奥行きを感じさせるために、土塀の高さを計算し、遠近法を利用した高度な設計手法といえる。


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    土塀の謎

    いわば名画のフレーム

    モノトーンの空間を囲む、高さ一メートル八〇センチの土塀。
    油土塀と称するこれもまた、石庭を傑作とならしめる重要な構成要素である。

    この油土塀とは、菜種油を混ぜ入れ練り合わせた土で作られており、白砂からの照り返し防止や、長い風雪、環境変化に耐えぬく、非常に堅牢な作りに仕上がっている。

    ちなみに石庭面は、外側の地面から八〇センチほど高い場所に位置する。
    これも強固さを保つための工法上の工夫によるという。


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