3 thoughts on “三村幸作

  1. shinichi Post author

    ご神木、鉄路と生きる 萱島駅のクスノキ(未来への百景)
    大阪府寝屋川市

    by 佐々木宇蘭

    photograph by 三村幸作

    http://www.nikkei.com/article/DGXLASIH10H0A_Q5A210C1AA1P00/

     京阪電鉄萱島駅(大阪府寝屋川市)を遠くから眺めると、屋根の上に緑の葉っぱが生い茂っている。まるで巨大なブロッコリーを駅舎に載せたみたい。電車が止まると、部活帰りの学生やスーツ姿の会社員がホームにドッとはき出される。せわしなく往来する電車が大きな木の下で一息ついているようだ。

     幹の周囲7メートル、高さ20メートルの巨大クスノキは駅高架下にある萱島神社のご神木。約700年前の鎌倉時代から立つ。萱島駅が現在の形になったのは1980年。なぜ巨木がホームを貫通するデザインになったのだろう。

     「土地を守ってくれている大事な氏神さんのご神木を切るとは何事や、と地元住民が立ち上がったんです」。近くに住む萱島神社代表総代の古箕(ふるみ)豊さんが当時を振り返る。

     高度成長期の72年、郊外の人口増加に対応して京阪電鉄は土居駅(同守口市)から寝屋川信号所(同寝屋川市)までの高架複々線化工事に着手した。萱島駅は少し南側に移動することになった。

     そこには萱島神社があった。京阪電鉄は神社境内と隣接地を買収したが、地元住民からクスノキの保存運動が起こる。中心になったのが豊さんの父、繁雄さん。京阪電鉄の社長に直談判するため、仲間と連れだって出かける父の姿を豊さんはよく覚えている。

     ご神木を切ればたたりがある――。そんな噂もささやかれた。豊さんは「沿線に大きな事故でもあれば大変、という文句がだめ押しになった」と笑う。願いは通じ、駅舎をくりぬいてクスノキを保存することになった。「工事費用もずいぶん余分にかかったとか。ありがたいこと」

     ホーム上の幹の周囲は透明なアクリル板で囲まれている。鉄骨製の天井を見ると枝の一部が屋根に食い込んでいた。この10年間は枝を切っていないというが、少しずつ成長し続けているのだろう。

     高架下におりると、クスノキの根元にはしめ縄が巻かれていた。京阪電鉄が立てた看板に「クスノキに寄せる尊崇の念にお応えし(中略)後世に残すことにしました」とある。住民の思いが込められた巨木。根元から上を見上げると、ホームにぽっかり空いた穴から夕焼けが見えた。

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  2. shinichi Post author

    現代に息づく前近代 ― 「自然=神仏」を思い起こそう

    by 大喜直彦

    http://www.chugainippoh.co.jp/ronbun/2016/0826.html

    2、現在に生きる前近代

    神仏を否定し、そうでなければ、その存在をかなり小さな世界に押し込めてきたのが現代社会です。西欧的自然観は現代社会においては支配的で、確かに今は合理的にものを考える社会となりました。でも前近代的な自然=神仏の感覚は今も残っていることも事実なのです。

    例えば、京阪電車萱島駅(大阪府寝屋川市)には、ホームとその屋根を突き抜けて、さらに天へと伸びている樹齢700年ともいわれる大クスノキがあります。穴を開けたホームを持つ駅は日本でここだけでしょう。

    この大クスノキは地元萱島神社のご神木で、1972年の高架複々線建設の際、同駅が南側へ移動する計画となったのです。そこには萱島神社があり、京阪電鉄は神社境内と隣接地を買収することになりました。その際、その地にはこのご神木があり、伐採することになりました。しかし地元で保存運動が起こったのです。

    結果「地元の皆さんのクスノキに寄せる尊崇の念にお応えし、新しい萱島駅と共にこのクスノキを後世に残すことにしました。(中略)樹木がホームと屋根とを突き抜けるという、全国に例をみない姿となりました」(京阪電気鉄道株式会社製作「萱島の大クスノキ」解説の立札)。ホームに穴を開けてまで、神木を伐採できない心情、ここに木=神と考える自然観が生きています。

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