田中淳夫

スギは、日本では屋久島から青森までたいていの山に生えている(植えている)。だから身近に感じるが、実はヒノキ科スギ亜科スギ属に属する日本だけの固有種である。その点からは、スギ花粉症は日本だけの現象なのだ。最近はヒノキ花粉症も増えているが、ヒノキもヒノキ科ヒノキ属に属して、分布するのは日本と台湾だけとされる。スギ(とヒノキ)花粉症は、世界的にはごく狭い範囲でしか起こっていない珍しい症状のようである。
スギと名のつく樹木は世界中にあると思う人もいるかもしれない。有名なのはレバノンスギやヒマラヤスギだろう。ほかにも正式名称ではないが、ベイスギと呼ぶ木もあり、英語のシーダー(シダー)はスギと訳されている。しかし、ヒマラヤスギやレバノンスギは、マツ科の樹木である。ベイスギとも呼ぶウェスタンレッドシダーは、ヒノキ科クロベ属。ちなみに中国で杉と記すとコウヨウザンを指し、日本では中国杉と呼ぶが、これはヒノキ科コウヨウザン属だ。単に日本人が「~スギ」と名付けただけなのだ。当然、花粉もスギとは全然違う。むしろ海外ではシラカバなどカンバ類や、ポプラ、クリ、そしてブタクサなどの花粉による花粉症が問題になっているらしい。
スギばかりを悪役にするのではなく、なぜ自然物である花粉が、人体(とサル)に花粉症を引き起こすのか、そのメカニズムに眼を向けた方がよさそうだ。

3 thoughts on “田中淳夫

  1. shinichi Post author

    スギ花粉は世界中に舞っていた!

    by 田中淳夫

    https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakaatsuo/20160309-00055234/

    スギの花粉散布は今が最盛期、つまりスギ花粉症も盛りのようだ。
    そのためスギのない北海道や沖縄、さらに海外まで“避難”する人もいるとかいないとか。

    そこで現在スギは、どこに植えられているのか、ちょっと調べてみた。

    まずスギは、日本では屋久島から青森までたいていの山に生えている(植えている)。だから身近に感じるが、実はヒノキ科スギ亜科スギ属に属する日本だけの固有種である。その点からは、スギ花粉症は日本だけの現象なのだ。

    また最近はヒノキ花粉症も増えているが、ヒノキもヒノキ科ヒノキ属に属して、分布するのは日本と台湾だけとされる。タイワンヒノキは、若干ヒノキと違っているので、果たしてタイワンヒノキの花粉で花粉症になるかは知らない。ただ、台湾では花粉症そのものがあまり認知されていないそうだし、ヒノキ花粉症も日本特有に近いと言えるだろう。

    そのように見ると、意外とスギ(とヒノキ)花粉症は、世界的にはごく狭い範囲でしか起こっていない珍しい症状のようである。日本の中でも、北海道と沖縄を除く地域だけなのだから。

    もっとも北海道も、厳密に言えば戦前戦後に道南一部に植林されたので、それなりにスギはあるはずだ。ただ花粉症と感じるほど多くないだけである。

    スギと名のつく樹木は世界中にあると思う人もいるかもしれない。。有名なのはレバノンスギやヒマラヤスギだろう。ほかにも正式名称ではないが、ベイスギと呼ぶ木もあり、英語のシーダー(シダー)はスギと訳されている。
    しかし、ヒマラヤスギやレバノンスギは、マツ科の樹木である。ベイスギとも呼ぶウェスタンレッドシダーは、ヒノキ科クロベ属。ちなみに中国で杉と記すとコウヨウザンを指し、日本では中国杉と呼ぶが、これはヒノキ科コウヨウザン属だ。
    単に日本人が「~スギ」と名付けただけなのだ。当然、花粉もスギとは全然違う。
    だからヒマラヤスギやレバノンスギ、コウヨウザンの花粉症などはないはずだ(多分)。

    ところが、実は日本のスギは、意外と世界各国に植えられていた。
    まず台湾と朝鮮半島がある。これはかつて日本の植民地だったからだが、戦後はほとんど植えていないから、現在まで残っているのはごくわずかだろう。

    しかし、ちゃんとスギで林業をしている地域があった。大西洋のアゾレス諸島と、インド洋のレユニオン島である。
    どのような経緯で大西洋やインド洋の孤島に植えられたのか詳しくはわからないが、数万ヘクタールものスギ林が造成されているらしい。ちゃんと計画的に苗を生産して植林し、育ったら伐採もして木材を出荷する、つまり林業を行っているという。
    ほかにもインドやネパールにもスギ林はつくられている。意外や海外ではスギは人気なのだった。

    どうやら具体的に林業を行うために世界中の樹木を検討して、もっとも適した種としてスギが選ばれたようだ。真っ直ぐ伸びる幹は建築材に向いており、生長も比較的早いと、海外では杉の評価は高いのである。

    それらのスギ林が造成された地域にスギ花粉症があるかどうかはわからない。しかし、少なくても花粉症を理由に目の敵にされることはなさそうだ。 
    むしろ海外ではシラカバなどカンバ類や、ポプラ、クリ、そしてブタクサなどの花粉による花粉症が問題になっているらしい。

    スギばかりを悪役にするのではなく、なぜ自然物である花粉が、人体(とサル)に花粉症を引き起こすのか、そのメカニズムに眼を向けた方がよさそうだ。

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  2. shinichi Post author

    中国で花粉症は?中国人の6つのアレルギー事情!

    by spintheearth

    https://www.spintheearth.net/china-pollen-allergies/

    あなたは日本人のような花粉症アレルギーが、中国人の間にも流行っていると思いますか?海外にも花粉症はありますが、杉の木の花粉による花粉症は日本以外に実は余り例がありません。

    Reply
  3. shinichi Post author

    スギ以外の花粉症

    by 大久保公裕

    http://www.kyowa-kirin.co.jp/kahun/about/other.html

    日本で花粉症といえばなんといってもスギ花粉症ですが、実は日本にはスギ以外にも多くの樹木の花粉症が知られています。「スギ花粉の時期でもないのに鼻水が止まらない」「スギの木がないのに目がかゆい」・・・そんなときは他の植物の花粉症かもしれません。

    冬から春:ヒノキ シラカンバ オオバヤシャブシ コナラ クリ オリーブ ハンノキ  その他

    夏から秋:草本花粉(イネ科・キク科)

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