shinichi Post author04/01/2018 at 11:05 pm 絵でみる脳と神経 第4版: しくみと障害のメカニズム by 馬場元毅 ** 脳と神経を学ぶすべての人のための定番書、8年振りの改訂! 末梢神経と中枢神経の違いを説明できる? 意識障害や脳ヘルニア、脳では何が起こっているの?――「脳と神経」は目に見えないから難しい。でも見えたら…こんなに面白い! 著者による秀逸なイラストと臨床につながる解説で、脳と神経のしくみが見える、障害のメカニズムが理解できる。日常診療やケアに必ず役立つ、脳と神経の定番書。 ** 序 文 この本を読まれる皆さんへ 2015年の暮れに医学書院の編集者から「前回の改訂(第3版)から6年以上になりますが,そろそろ次の版への改訂はいかがでしょうか」との声かけをいただきました。あまりの時の流れの速さに驚いたのですが,考えてみますと本書は第1版が発刊された1991年以降,おおむね8年から10年ごとに改訂版を発行してきています。 本書は本来,看護師さんにはややもすれば敬遠されがちであった神経学と神経解剖学,神経生理学をわかりやすい文章とイラストを多用して解説することを目的としたものでした。この分野は比較的普遍的な学問で,当初は10年ごとに内容を見直すことでよいと思われていたのですが,医学の進歩は臨床面だけでなく,基礎医学においても画期的な発見や発展を認め,その変化を皆さんにお伝えするペースは10年ごとでは遅すぎる時代になってしまいました。このトレンドに乗り遅れることは,本書を愛読していただいている皆さんを時代遅れにしてしまうと危惧し,このたび約8年ぶりに改訂第4版を上梓させていただきました。 現在,看護師や理学療法士向けの雑誌はもとより,単行本もイラストはオールカラーで,まさしくビジュアル本全盛期の時代を迎えています。今回の改訂にあたり,本書もオールカラーにすることを真剣に考えたのですが,結論として,これまでどおり2色刷のオーソドックスな作りといたしました。その理由は,まず本文を熟読し対応する箇所のイラストを見ていただくことで,その内容の理解が容易になると思っていますし,一つの項を読み終わるたびに,脳と神経のしくみと働きの理解が深まって,その“面白さ”を実感していただけるのでは,と思ったからです。 今回の改訂で最も着目していただきたい項目は“髄液の動き”に関する箇所です。本文を読んでいただければおわかりになると思いますが,100年前から定説とされてきた「髄液は循環している」という概念が,最近になって覆されたのです。 さらに,認知症や脳血管障害,排尿障害などに新しい学説が唱えられており,これらについても少しだけ,今回の改訂版に取り入れました。 今回はあらたに「てんかん」および「高次脳機能障害」の項を追加いたしました。わが国でもてんかんの患者さんは決して少なくないのですが,この疾患への偏見のために辛い思いをされている方が大勢おられます。また高次脳機能障害は頭部外傷後遺症だけでなく,脳血管障害後遺症などでも観察される病態ですが,これらの障害に苦しむ患者さんが少しでも健全な日常生活を営むためにも何らかの支援が必要だと思います。看護,介護に携わる皆さんが,これらの障害や疾病を正しく理解することで,患者さんにいくらかでも手を差しのべることができるようになると信じております。 最後に,本書から得られた知識が机上の学問とならず,日常の看護や理学療法,介護の現場で生かされたものとなることを切に願っております。 2017年12月 初冬の久が原にて 馬場元毅 ** 目 次 巻頭カラーイラスト この本を読まれる皆さんへ 第1章 中枢神経系のしくみ 中枢神経系を取り巻く環境 中枢神経系を守るしくみ 中枢神経系と末梢神経系 中枢神経と末梢神経の違い [MEMO]脳のミクロのしくみと働き ニューロンのしくみと働き グリア細胞(神経膠細胞)-神経細胞を支える裏方の脳細胞 大脳 大脳の構成 大脳皮質 間脳 大脳基底核 大脳辺縁系 小脳 小脳のしくみ 小脳の働き 脳幹 脳幹のしくみ 脳幹の内部構造 [MEMO]脳死 脊髄 脊髄のしくみ 脊髄の働き 脳循環 脳循環のしくみ 脳循環の調節 脳脊髄液の動き(動態) 髄液の動きに関する新しい知見 髄液の動きと役割 第2章 障害のメカニズム 意識障害 意識を保つためのしくみと働き 意識障害をみるポイント 脳ヘルニア 脳ヘルニアのメカニズムと病態 脳ヘルニアに特徴的なバイタルサインの変化 意識障害患者の神経症状のみかた [MEMO]脳腫瘍 脳腫瘍の分類 脳腫瘍の症状 言語障害 言葉をあやつる脳 言語障害のメカニズム 高次脳機能障害 高次脳機能障害とは 高次脳機能障害の症状と病巣部位 認知症 脳組織の生理的老化 認知症の定義 認知症の原因疾患の分類と頻度 アルツハイマー型認知症の症状 認知症の進行過程 代表的な認知症疾患 認知症の診断 認知症の治療 てんかん てんかんの起こるメカニズムと分類 てんかんの診断と治療 [MEMO]中枢神経系の補助検査(1)脳波検査 脳波の検査と分類 正常脳波と異常脳波 運動麻痺 運動神経経路のしくみ 反射 運動麻痺の分類 障害部位ごとにみた運動麻痺の症状 錐体外路障害 [MEMO]パーキンソン病 発症のメカニズムと病態 パーキンソン病の治療 感覚障害 感覚を感じるしくみ 感覚の種類とその特徴 感覚伝導路のしくみ 脊髄での感覚伝導路の並び方 部位ごとにみた感覚障害の特徴 [MEMO]頭痛 頭痛の分類 代表的な頭痛とそのメカニズム その他の頭痛 脳神経障害 脳神経の構成 第 I 脳神経(嗅神経) 第 II 脳神経(視神経) 眼球運動を支配する脳神経 第 V 脳神経(三叉神経) 第 VII 脳神経(顔面神経) 第 VIII 脳神経(聴神経) 尾側脳神経群(第IX~XII脳神経) 摂食嚥下障害 摂食の神経機能 嚥下の神経機構 嚥下障害の臨床 小脳の障害 小脳失調 小脳の疾患 小脳疾患の治療 排尿障害 排尿のメカニズム 神経因性膀胱(過活動膀胱/低活動膀胱)とは 神経因性膀胱のメカニズム 膀胱機能障害の診断法 排尿障害のケア 脳血管障害 脳血管障害の分類 出血性脳血管障害(1)高血圧性脳内出血 出血性脳血管障害(2)クモ膜下出血 脳動脈瘤 閉塞性脳血管障害(脳梗塞) [MEMO]中枢神経系の補助検査(2)CT,MRI画像の見方,読み方 CTの特徴と画像の見方 MRIの特徴と画像の見方 髄液の動きの障害(水頭症) 髄液の動きの障害と水頭症 部位ごとの髄液の動きの障害 年齢による水頭症の病態 水頭症の症候と診断 水頭症の治療 [MEMO]正常圧水頭症 [MEMO]中枢神経系の補助検査(3)腰椎穿刺 腰椎穿刺はどういう検査か 腰椎穿刺の手技と介助 髄液検査でわかること 文献 索引 Reply ↓
絵でみる脳と神経 第4版: しくみと障害のメカニズム
by 馬場元毅
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脳と神経を学ぶすべての人のための定番書、8年振りの改訂!
末梢神経と中枢神経の違いを説明できる? 意識障害や脳ヘルニア、脳では何が起こっているの?――「脳と神経」は目に見えないから難しい。でも見えたら…こんなに面白い! 著者による秀逸なイラストと臨床につながる解説で、脳と神経のしくみが見える、障害のメカニズムが理解できる。日常診療やケアに必ず役立つ、脳と神経の定番書。
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序 文
この本を読まれる皆さんへ
2015年の暮れに医学書院の編集者から「前回の改訂(第3版)から6年以上になりますが,そろそろ次の版への改訂はいかがでしょうか」との声かけをいただきました。あまりの時の流れの速さに驚いたのですが,考えてみますと本書は第1版が発刊された1991年以降,おおむね8年から10年ごとに改訂版を発行してきています。
本書は本来,看護師さんにはややもすれば敬遠されがちであった神経学と神経解剖学,神経生理学をわかりやすい文章とイラストを多用して解説することを目的としたものでした。この分野は比較的普遍的な学問で,当初は10年ごとに内容を見直すことでよいと思われていたのですが,医学の進歩は臨床面だけでなく,基礎医学においても画期的な発見や発展を認め,その変化を皆さんにお伝えするペースは10年ごとでは遅すぎる時代になってしまいました。このトレンドに乗り遅れることは,本書を愛読していただいている皆さんを時代遅れにしてしまうと危惧し,このたび約8年ぶりに改訂第4版を上梓させていただきました。
現在,看護師や理学療法士向けの雑誌はもとより,単行本もイラストはオールカラーで,まさしくビジュアル本全盛期の時代を迎えています。今回の改訂にあたり,本書もオールカラーにすることを真剣に考えたのですが,結論として,これまでどおり2色刷のオーソドックスな作りといたしました。その理由は,まず本文を熟読し対応する箇所のイラストを見ていただくことで,その内容の理解が容易になると思っていますし,一つの項を読み終わるたびに,脳と神経のしくみと働きの理解が深まって,その“面白さ”を実感していただけるのでは,と思ったからです。
今回の改訂で最も着目していただきたい項目は“髄液の動き”に関する箇所です。本文を読んでいただければおわかりになると思いますが,100年前から定説とされてきた「髄液は循環している」という概念が,最近になって覆されたのです。
さらに,認知症や脳血管障害,排尿障害などに新しい学説が唱えられており,これらについても少しだけ,今回の改訂版に取り入れました。
今回はあらたに「てんかん」および「高次脳機能障害」の項を追加いたしました。わが国でもてんかんの患者さんは決して少なくないのですが,この疾患への偏見のために辛い思いをされている方が大勢おられます。また高次脳機能障害は頭部外傷後遺症だけでなく,脳血管障害後遺症などでも観察される病態ですが,これらの障害に苦しむ患者さんが少しでも健全な日常生活を営むためにも何らかの支援が必要だと思います。看護,介護に携わる皆さんが,これらの障害や疾病を正しく理解することで,患者さんにいくらかでも手を差しのべることができるようになると信じております。
最後に,本書から得られた知識が机上の学問とならず,日常の看護や理学療法,介護の現場で生かされたものとなることを切に願っております。
2017年12月 初冬の久が原にて
馬場元毅
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目 次
巻頭カラーイラスト
この本を読まれる皆さんへ
第1章 中枢神経系のしくみ
中枢神経系を取り巻く環境
中枢神経系を守るしくみ
中枢神経系と末梢神経系
中枢神経と末梢神経の違い
[MEMO]脳のミクロのしくみと働き
ニューロンのしくみと働き
グリア細胞(神経膠細胞)-神経細胞を支える裏方の脳細胞
大脳
大脳の構成
大脳皮質
間脳
大脳基底核
大脳辺縁系
小脳
小脳のしくみ
小脳の働き
脳幹
脳幹のしくみ
脳幹の内部構造
[MEMO]脳死
脊髄
脊髄のしくみ
脊髄の働き
脳循環
脳循環のしくみ
脳循環の調節
脳脊髄液の動き(動態)
髄液の動きに関する新しい知見
髄液の動きと役割
第2章 障害のメカニズム
意識障害
意識を保つためのしくみと働き
意識障害をみるポイント
脳ヘルニア
脳ヘルニアのメカニズムと病態
脳ヘルニアに特徴的なバイタルサインの変化
意識障害患者の神経症状のみかた
[MEMO]脳腫瘍
脳腫瘍の分類
脳腫瘍の症状
言語障害
言葉をあやつる脳
言語障害のメカニズム
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害の症状と病巣部位
認知症
脳組織の生理的老化
認知症の定義
認知症の原因疾患の分類と頻度
アルツハイマー型認知症の症状
認知症の進行過程
代表的な認知症疾患
認知症の診断
認知症の治療
てんかん
てんかんの起こるメカニズムと分類
てんかんの診断と治療
[MEMO]中枢神経系の補助検査(1)脳波検査
脳波の検査と分類
正常脳波と異常脳波
運動麻痺
運動神経経路のしくみ
反射
運動麻痺の分類
障害部位ごとにみた運動麻痺の症状
錐体外路障害
[MEMO]パーキンソン病
発症のメカニズムと病態
パーキンソン病の治療
感覚障害
感覚を感じるしくみ
感覚の種類とその特徴
感覚伝導路のしくみ
脊髄での感覚伝導路の並び方
部位ごとにみた感覚障害の特徴
[MEMO]頭痛
頭痛の分類
代表的な頭痛とそのメカニズム
その他の頭痛
脳神経障害
脳神経の構成
第 I 脳神経(嗅神経)
第 II 脳神経(視神経)
眼球運動を支配する脳神経
第 V 脳神経(三叉神経)
第 VII 脳神経(顔面神経)
第 VIII 脳神経(聴神経)
尾側脳神経群(第IX~XII脳神経)
摂食嚥下障害
摂食の神経機能
嚥下の神経機構
嚥下障害の臨床
小脳の障害
小脳失調
小脳の疾患
小脳疾患の治療
排尿障害
排尿のメカニズム
神経因性膀胱(過活動膀胱/低活動膀胱)とは
神経因性膀胱のメカニズム
膀胱機能障害の診断法
排尿障害のケア
脳血管障害
脳血管障害の分類
出血性脳血管障害(1)高血圧性脳内出血
出血性脳血管障害(2)クモ膜下出血
脳動脈瘤
閉塞性脳血管障害(脳梗塞)
[MEMO]中枢神経系の補助検査(2)CT,MRI画像の見方,読み方
CTの特徴と画像の見方
MRIの特徴と画像の見方
髄液の動きの障害(水頭症)
髄液の動きの障害と水頭症
部位ごとの髄液の動きの障害
年齢による水頭症の病態
水頭症の症候と診断
水頭症の治療
[MEMO]正常圧水頭症
[MEMO]中枢神経系の補助検査(3)腰椎穿刺
腰椎穿刺はどういう検査か
腰椎穿刺の手技と介助
髄液検査でわかること
文献
索引