滝沢ななえ

アスリートにとって、自分の支えになってくれる恋人やパートナーの存在はすごくプラスになると思います。心の支えになっている存在を、隠して生きていかなくてはいけない、後ろめたいことをしているわけでもなく、普通に恋愛をしているのに、という状況は、やっぱりストレスになるものです。
だからこそ、仕事や自身の生き方が少しでも LGBT の方々の応援につながっていけば幸いです。私は子孫を残す、自分の DNA を残すということにあまり興味がない代わりに「自分の考え」を残せたらいいな、と思っています。
恋愛において、みなさんの「普通」と、私たちの「普通」はきっと同じです。男性も女性も、誰が好きであれ、私たちにとっては「普通」なので、明るく受け入れてほしい。

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  1. shinichi Post author

    「美しすぎるバレーボール選手」滝沢ななえが同性愛を告白した理由

    滝沢ななえ(元バレーボール選手)

    聞き手 iRONNA編集部、中田真弥

    https://ironna.jp/article/9202

    たきざわ・ななえ 元バレーボール選手。1987年東京都生まれ。八王子実践高等学校を卒業。パイオニアレッドウィングスにて3年プレーした後、上尾メディックスに移籍。上尾メディックスでの4年間の選手生活を終え、バレーボールスクールのコーチなどを経て、現在トレーニングジム「SPICE UP FITNESS」トレーナー。

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     2016年のリオ五輪・パラリンピックでは、セクシュアルマイノリティーをカミングアウトした選手が50人以上で過去最多となり、話題になりました。2014年、オリンピック憲章に「性的指向による差別禁止」が明記されたことも背景にあって、エンブレムに「多様性と調和」のメッセージを込めた2020年の東京五輪がどうなるのか、世界が注目していると思います。

     一方で、日本の現役選手で今、カミングアウトしている人はいません。もちろんカミングアウトすることが全てではありませんが、引退したスポーツ選手でもカミングアウトしているのはわずか数人というのが現状です。

     そんな中、2017年11月に放送されたバラエティー番組『衝撃のアノ人に会ってみた』(日本テレビ系)で、私は女性とお付き合いしていることを初めてメディアの前でお話しました。要はレズビアンであることをカミングアウトしたのです。

     取材で来た番組ディレクターに「彼氏か旦那さんはいますか?」と聞かれたので、「彼女がいます」と答えたんです。最初はびっくりされましたが、その後に「ぜひ使わせて欲しい」と言われて、放送することになりました。

     ちょうど、そのテレビ番組のお話をいただく少し前、私が所属しているジム「SPICE UP FITNESS」の代表と、セクシュアルマイノリティーとしてもっと表に出ていけたら、誰かを勇気づけたり、誰かの考えや行動に変化が生まれたり、そういうきっかけをつくることができるんじゃないかって話していたんです。だから、テレビ出演のお話はタイミングが良かったですね。

     ここから少し自分自身の話をしようと思います。自分の恋愛対象が女性だと初めて自覚したのは、バレーボールチーム「上尾メディックス」に所属していた22歳のころでした。それまで男性とお付き合いしたこともありましたが、友達と「恋バナ」をしていると、なんとなく違和感がありました。

     というのも、女の子って恋をすると恋愛モードになるというか、すごく乙女になるじゃないですか。その感覚が私にはなかったんです。付き合っている男性のことは人として尊敬していたので一緒にいることはできるのですが、どうしても「友達」のような感覚で、なんでこんなに違うんだろうと思っていました。

     そんな時、女優の上野樹里さんが性同一性障害の人を演じた『ラストフレンズ』(フジテレビ系列)というドラマを偶然みたんです。私は自分が女性であることに違和感は全くなかったのですが、ちょっと男っぽい部分もあるので、「あー、私も女性とお付き合いした方が心惹かれるのかな?」と、ふと思ったんです。そして実際に女性と付き合ってみたら、「ああ、みんなが恋バナをしていたときの恋愛モードってこういう感じか!」と初めて理解できたんです。

     とはいえ、女性が好きだと自覚してからも、恋バナをするのは難しいものでした。なぜなら、恋バナをするときって、必ず「彼氏いるの?」と聞かれるからです。その時点で少し違和感がありますが、相手も決して悪気があるわけではないので難しいですよね。私の場合、男性の立場で彼女とお付き合いしているので、彼女を彼氏と置き換えて話すこともできない。なので、本当はもっとしゃべりたいこともあるし、恋もしているけれど、恋バナのときはごまかしてしまうことが多かったです。

     私は基本的にポジティブで、普通に明るく楽しく生きているので、テレビのドキュメンタリーのような深刻な話ではないですけど、もう一つ、日常で違和感があるとすれば、やっぱり結婚や出産の話ですね。私の妹はすごく家庭的で、ずっと結婚したいって言っているような子なので、いつも「ななえ、結婚しないの?」「子供かわいいよ」と私に言っていました。

     妹も、もちろん周りの友達も、結婚して、家庭があって、子供がいるっていう生活が幸せだと思っていたからこそ、いつか私にも幸せになってほしくて言ってくれたんだと思います。みんな悪気があるわけではなく、無意識にそう言ってくれますね。ただ、私にとっては興味がない話というか、私にとって幸せのカタチは結婚や出産ではなかったというだけなんです。

     プライベートではそういう小さな違和感もありましたが、バレーボール選手として、自分がセクシュアルマイノリティーだからといって何か不便があったり、嫌なことがあったりということはほとんどなかったです。自分がセクシュアルマイノリティーだからといって、何か競技に悪影響が出ることもありませんでした。同性愛者だからという理由で試合中にミスが増えるなんてことはないじゃないですか。

     一つあるとすれば、男性ファンに対しての罪悪感でした。私は現役時代、男性ファンが多くて、「ななえちゃん、かわいい」と言われると、だましているつもりはなくてもちょっと申し訳なく思っていました。

     表舞台に出る人間として、周りの反応、特に応援してくれている方々の目というのはどうしても気になると思います。ファンの方は、「この選手はこういう人だろうな」という自分なりのイメージを持っていて、そのイメージをあまり崩してはいけないという意識が当時は強かった。もしイメージと異なれば、どうしてもがっかりさせてしまうのではないかと考えていました。

     私自身も、ファンがあってのアスリートだと思っていたし、だからこそファンの方を大切にしたいと思っていたので、カミングアウトするより、イメージのままの「滝沢ななえ」でいる方がいいのかな、と思っていました。

     私はもう引退した身ですが、それでも公表するのは怖かったですね。収録はしたものの、本当に放送されて大丈夫なのか、ずっと不安でした。正直なところ、同性愛であることを公表したら、男性ファンは引いてしまうのではないかと思っていましたし、そうなったらなったで仕方がないと、覚悟もしていましたけど…。最後はセクシュアルマイノリティーの滝沢ななえを応援してくれる人が残ってくれればそれでいい。そう思って公表しました。

     もちろん、どうしても受け入れられない人もいるとは思います。でも結果的に、「ななえちゃんがどうであれ、滝沢ななえっていう人間をこれからも応援していきたい」というお言葉をいただいたり、男性の方でも今まで通り応援してくれるファンが意外に多かったり、予想以上に温かい反響をいただき少し驚きました。

     冒頭でも話した通り、今現役の日本人スポーツ選手でカミングアウトしている選手はいませんが、今の日本の状況ではまだ難しいだろうと思います。LGBTというという言葉が少しずつ社会に認知されてきていますが、自身がLGBTであるということをカミングアウトするのには、まだまだ勇気が必要だと感じています。

     それでも、現役選手の方で、モヤモヤしている方がいらっしゃるのなら、ファンの人はファンのままだから、あまり怖がらなくてもいいんじゃないかな、と伝えたいです。これは私が今回公表したことで一番実感したことです。絶対に理解してくれる人がいるし、そういう面で気持ちが晴れてくると、競技にもいい形につながってくるのではないでしょうか。

     アスリートにとって、自分の支えになってくれる恋人やパートナーの存在はすごくプラスになると思います。そんなことを考えるより競技に集中しろ、というご意見もきっとあるでしょうが、スポーツはフィジカルの部分、メンタルの部分どちらも重要です。そんな心の支えになっている存在を、隠して生きていかなくてはいけない、後ろめたいことをしているわけでもなく、普通に恋愛をしているのに、という状況は、やっぱりストレスになるものです。

     だからこそ、仕事や自身の生き方が少しでもLGBTの方々の応援につながっていけば幸いです。私は子孫を残す、自分のDNAを残すということにあまり興味がない代わりに「自分の考え」を残せたらいいな、と思っています。

     恋愛において、みなさんの「普通」と、私たちの「普通」はきっと同じです。男性も女性も、誰が好きであれ、私たちにとっては「普通」なので、明るく受け入れてほしい。東京五輪では、LGBTの人たちも、不自由なく参加できる環境にしてもらいたいですね。

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