ギャンブル依存症患者

コロナコロナ言うけれど、他の感染症だって怖い。結核患者は都内で年間3千人出てるって聞いた。インフルだってある。夏になったらデング熱。気にしていたら、キリがない。俺はこの年になって、コロナにかかろうが何だろうが気にしなくなった。がんだってこわいし、他の病気にかかるリスクもあるからね。なる時はなるし、ならない時はならない。すべては自己責任。かかったら人生終わりだけど、かかるかどうかもギャンブルだよ。

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    リスク承知でパチンコ店に通い続ける理由とは 「生活の支えになる」「時間潰す場所がない」…客の「主張」を聞いてみた

    by 飯塚大和

    AERA dot.編集部

    https://www.msn.com/ja-jp/news/coronavirus/リスク承知でパチンコ店に通い続ける理由とは-「生活の支えになる」「時間潰す場所がない」…客の「主張」を聞いてみた/ar-BB12KNQv

    4月13日に配信した記事「なぜパチンコ店の行列は『放置』されるのか 政府と国会議員に聞いた」は大きな反響を呼んだ。パチンコ業界に対する政府や国会議員の「不作為」を嘆く声が多かったと同時に、店に通う客へも厳しい意見が多く寄せられた。では、なぜ客たちは感染リスクを背負ってまで、パチンコに行くのか。世間には届いていないだけで、彼らにも「言い分」があるのではないか。東京都と千葉県で利用客を取材した。

    *  *  *

     4月15日、東京・台東区の繁華街。人通りはまばらだったが、駅周辺では休業要請が出てもなお、5店舗ほどが営業を続けていた。客が次々と入り口に吸い込まれていくのが見える。

    「なぜ、この時期にパチンコに行こうと思ったのでしょうか」

     慎重に距離を取りながら、店から出てくる30人ほどの客に声をかけたが、そのほとんどが首を振り、足早に去っていく。やはり「負い目」があるのだろうか。

     それから30分後。店舗の入り口から、店内の様子をのぞき込んでいた男性に声をかけるとこう話した。

    「やってるかどうか、見に来た。大手は閉まってる店が多いけど、小さなところはまだ開いているからいいね」

     同区在住の60代の男性は平日は派遣社員として、渋谷区でマンションの清掃をしているという。普段は仕事帰りに渋谷駅近くのパチスロ店に寄るが、「コロナのせいで、行きつけの店が2軒とも閉まってて。他の店を探してたところ」だったという。

     男性の「店探し」によると、渋谷駅のほかに、新宿駅周辺も都の休業要請が効いているのか、閉まっている店が多いという。「この辺だったら、まだ開いてる店は多い」と独自のリサーチ結果を誇る。

     感染リスクについて問うと、「俺は5スロ(5円のスロット)だけやってる。短い時間だから、大丈夫」と笑みを浮かべる。

     この男性いわく、1パチ(1円パチンコ)のように長居して「細く長く」打つタイプのものは感染リスクが高いが、5スロや4パチ(4円パチンコ)のように、「太く短く」打つタイプのものであれば長居せずに済むため、リスクは少ないという。また、「ギャンブル依存症は、1パチに多い」とも口にした。

     「ハンドルを回したいだけの依存症だったら、長い時間できる1パチに行くはず。実際、1パチには金がなくても打ちたい年寄りが多い。そういう人は長時間いるから感染しやすいし、危ないね」

     パチンコに通い続ける理由について、男性は「生活の維持につながることもあるから」と話す。

    「自分の給料は、世間でいう、一番下の方。1カ月で3万でも4万でも勝てば、新卒の初任給くらいにはなる。当たれば生活の支えになる」

     だが、当然ながらギャンブルはいつも勝てるとは限らない。その点については、

    「負ける日もあるけど、1千円や2千円が、7千円になる日もある。それだけで1日の日給くらいになる。働いてるのがバカらしくなる」

     自身のギャンブル依存症は否定する。

    「昔はやめられなくてパンクしたけど、今は金額を1日最大5千円と決めて打っている。生活に支障がないように、最低限の交通費だって残している」

     店内の喫煙所は、「狭くて人が密集している」と感じつつも、喫煙もパチンコも止めるつもりはない。

    「コロナコロナ言うけれど、他の感染症だって怖い。結核患者は都内で年間3千人出てるって聞いた。インフルだってある。夏になったらデング熱。気にしていたら、キリがない。俺はこの年になって、コロナにかかろうが何だろうが気にしなくなった。がんだってこわいし、他の病気にかかるリスクもあるからね。(コロナにも)なる時はなるし、ならない時はならない。すべては自己責任。かかったら人生終わりだけど、かかるかどうかもギャンブルだよ」

     そう言い残し、別の店を偵察すると言って商店街に消えた。

     付近で営業していた別の店舗でも話を聞いた。

     店内から出てきた旅館経営者の60代男性は、「普段はパチンコはしないけど、今日だけ来た」と話す。この日に限って立ち寄ったのは、仕事の打ち合わせまでカフェで時間を潰そうとしたが、閉まっていたためだという。

    「他にいる場所がない。店内で誰かと話すわけでもないし。自己責任でしょう」

     と迷いなく答えた。

      YouTuberとして生計を立てている同区の28歳男性は「人が少ないから台を選びやすいし、さすがコロナという感じ」と臆面なく話す。緊急事態宣言の発令を受け、日課だったパチンコ通いを、週2回に減らしたという。

    「人が密集しているところには行きたくないんですけどね。趣味なので、すぐにはやめられない。長くいられて時間をつぶせるし、ストレス解消になる。もしかしたら大金が手に入るかも、という夢もある」

     密集はしているが、3密にはあたらないと主張する。

    「(店内は)空気清浄機があるようだから、空気もきれい。みんなマスクしていて、しゃべることもない。インフルと同じで、気をつけても、かかる人はかかる。ずっと家の中にいたところで、その後に収束していなければ、意味がない。みんながみんな自粛して収まるならいいけれど、結局みんな仕事に出ている。むしろ電車のほうが危ないと思う」

     同区のパチスロ店の従業員に話を聞いたところ、「(緊急事態宣言の翌日の)4月8日以降、客が増えて、売り上げも伸びている。他の店が閉まったことで、客が流れてきているのでは」と話した。休業要請の渦中であるが、「個人店なので、十分な補償がなければ閉められない」と事情を話す。

     東京都以外はどうか。千葉県の船橋市で取材をすると、総武線の船橋駅近くのパチンコ店が林立するエリアでは、すべての店に臨時休業の張り紙が貼られていた。都と比べると、開いている店舗自体は少ない印象を受けた。だが、隣駅にある大型のパチンコ店は開業しており、夕方には仕事帰りと思しきスーツ姿の男性たちが次々と吸い込まれていた。

     サラリーマンだけではない。自転車でやってくる年配の女性や、学生らしき若者の姿もある。

     目視で確認したところ、駐車場には自転車約40台、バイク約15台が止められていたほか、70台ほどの車が、立体駐車場の上の階までぎっしり埋まっていた。

     店内をのぞいてみたが、少なくとも数百人の客が間隔をとらず、必死に玉を追いかけていた。全席埋まっている列もある。

     店の前で20人ほどに声をかけたが、大半が回答を避け、逃げるように去っていく。「タバコを吸いに来ただけ」「見にきただけ」と答える人も多かった。

     同市に住む70代男性も、「気晴らし。他の店は閉まってて、ここが開いてたから来た。マスクをしたままだし、人と話すこともないから大丈夫」とだけ話した。

      こうした客たちの主張を専門家はどうみるのか。公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の田中紀子代表は「この非常時にパチンコに行く人は、まず依存症もしくは依存症予備軍でしょう」と断言する。もはや理性で行動が制御できていないからだという。

    「理性を働かせれば、ウイルスをうつすこともうつされることも、クラスターが発生し得ることもわかるはず。頭ではわかっていても、自分の意志で自制ができないのです。さまざま言い訳を並べるのも、依存症者の特徴です。良くないことだと頭のどこかではわかっているが、自制が利かないので、それに対する言い訳を考えつくという思考パターンになります」

     一般的に『否認の病』と言われるように、自分を依存症だと認めないのが、依存症者の特徴だという。今のような状況下では、この思考パターンは悪いほうに作用してしまうことから、平時よりも業界は強い危機感を持つべきだと指摘する。

    「依存症を生み出してきた産業の責任として、業界側がきちんと自粛に応じるべきです。パチンコ客の50%超が喫煙者という調査結果も出ています。4月1日からはフロアが禁煙となり、かえって狭い喫煙ブースに人が集まっています。年配者も多い。ハイリスク層を抱えているのだから、業界が自粛するのは当然です」

     そして、このまま営業を続けるパチンコ店と客を放置すれば、「コロナ以前」よりも状況が悪化しかねないと警鐘を鳴らす。

    「阪神や東北の大震災後に、依存症者が増えたという調査結果があります。不安感の強い時代になると、アルコールや薬物、ギャンブルで気を紛らわせようとする人が増え、それが依存症の入り口になってしまう。今がまさにその時なのです」

     この状況でパチンコに通う客にも「言い分」はあろう。だが、パチンコに行くのを正当化しようとする行為そのものが、ギャンブル依存症の兆候だという事実は忘れてはならない。

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