小川泰平

「警察にノルマがあるのか」という質問が結構多い。いろいろと見解が分かれるかと思うが、私は「ある」と認識している。警察内部では「努力目標」あるいは「目標数値」と言い換えているが、似たようなものである。目標数値があるからには、一般企業の「売り上げ」に相当するものもある。それが「検挙」の数であったり「検挙率」だと思っている。
「検挙」=「逮捕」と思っている方も多いと思うが、そうではない。「検挙」と一口で言ってもいろいろある。「逮捕」した場合はもちろん検挙であるが、逮捕しない場合、つまり身柄不拘束の場合でも検挙は検挙だ。
警察でとくに重要視されるのは「検挙率」。これは「検挙件数/認知件数」の割り算で出される数字だ。たとえば100件認知して30件検挙したとすれば、検挙率30%である。要するにこの「検挙率」が低いと、「事件(被害)があんまり解決してないね」ということである。
「認知件数」というからには、警察が認知した件数と思われる方も多いとは思うが実は違う。事件の通報を受けて事件を認知し、被害届を受理したものが「認知件数」であり、被害届を受理していないものは「認知件数」にはカウントされないのである。犯罪にあたるものであっても被害届が出されないなどで発覚しないものもあるということになる。
検挙率は「警察白書」などで毎年発表されていて、警察組織全体や、各警察本部やその下の警察署単位までそれぞれに「数字」が出される。すなわちこれが成績表のようなものである。ちなみに、警察全体の検挙率は近年は30%程度で推移している。
この「検挙率」に先ほどの「努力目標(ノルマ)」が課せられるのである。たとえば「検挙率○%以上」とか「検挙率を前年比○%アップ」などである。

2 thoughts on “小川泰平

  1. shinichi Post author

    警察の裏側

    by 小川泰平

    https://inumimi.papy.co.jp/inmm/sc/kiji/1-1042868-84/

    検挙率のカラクリ

    ◆ 検挙は警察の「売り上げ」である

     「警察にノルマがあるのか」という質問が結構多い。いろいろと見解が分かれるかと思うが、私は「ある」と認識している。警察内部では「努力目標」あるいは「目標数値」と言い換えているが、似たようなものである。目標数値があるからには、一般企業の「売り上げ」に相当するものもある。それが「検挙」の数であったり「検挙率」だと思っている。

     「検挙」=「逮捕」と思っている方も多いと思うが、そうではない。「検挙」と一口で言ってもいろいろある。「逮捕」した場合はもちろん検挙であるが、逮捕しない場合、つまり身柄不拘束の場合でも検挙は検挙だ。

    たとえば、スピード違反や、万引き、自転車ドロも検挙である。万引きや自転車ドロの大半が「微罪事件」として処理されており、警察限りで取り調べが行われ、罰金等の処分がないのが実情である。しかし、万引きや自転車ドロであっても余罪があったり逃走したりすると逮捕される場合がある。

    「逮捕」は必要な場合のみであり、何でも逮捕しているわけではない。

    **

     警察でとくに重要視されるのは「検挙率」。これは「検挙件数/認知件数」の割り算で出される数字だ。たとえば100件認知して30件検挙したとすれば、検挙率30%である。要するにこの「検挙率」が低いと、「事件(被害)があんまり解決してないね」ということである。

     「認知件数」というからには、警察が認知した件数と思われる方も多いとは思うが実は違う。事件の通報を受けて事件を認知し、被害届を受理したものが「認知件数」であり、被害届を受理していないものは「認知件数」にはカウントされないのである。犯罪にあたるものであっても被害届が出されないなどで発覚しないものもあるということになる。

     検挙率は「警察白書」などで毎年発表されていて、警察組織全体や、各警察本部やその下の警察署単位までそれぞれに「数字」が出される。すなわちこれが成績表のようなものである。ちなみに、警察全体の検挙率は近年は30%程度で推移している。

     この「検挙率」に先ほどの「努力目標(ノルマ)」が課せられるのである。たとえば「検挙率○%以上」とか「検挙率を前年比○%アップ」などである。

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  2. shinichi Post author

    (sk)

    発表される検挙率が高いのは、検挙率=検挙件数/認知件数 だから。

    もし、検挙率=検挙件数/事件件数 だったら、検挙率はもっとずっと低くなる。

    「事件があっても、訴訟がなければ取り調べは行わない」というのは、江戸時代と同じ。

    そうでない国もある。。。かもしれない。

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