ほのかな香り

人は言葉で自分を表現する
でも木が言葉で自分を表現するなんていうことは
ありえない

声を発したり食べて味わったり動いたり
動物がすることを
植物はしない

人は外見で自分を表現する
木が外見で自分を表現するなんていうことは
ありそうもないけれどでもあるかもしれない

木は服を着たり眼鏡をかけたりしないけれど
自分をすっと見せたり高くみせたりできる
輝く緑や深い緑を見せることもできるのだ

人は匂いで自分を表現する
木が匂いで自分を表現することも
きっとある

匂いだけでない
木は葉で枝で樹皮で自分を表現して
他の木になにかを伝える

木は静かで
枝の軋みにも葉のざわめきにも主張がない
でも
木がなにかを伝えようとするときに
ほのかな香りがする
そう思うのは
気のせいなんだろうか

2 thoughts on “ほのかな香り

  1. shinichi Post author

    世の人々は「匂う兵部卿(匂宮)、薫る中将(薫の君)」と噂をしていた。
    源氏の君と女三の宮の子(実は柏木との不倫の子)である薫の君は、
    その身体から発する「芳香」に恵まれていた。

    今上帝と明石中宮の皇子兵部卿(匂宮)は、
    薫の君の身体から出るほのかな香りをうらやんでいた。
    そこで、ありとあらゆる香りのする木々や草花を集め、
    自分の身体や衣に染みつけようとする。

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