国家なんていうもの

国の偉い人たちが
国民を勝てるはずのない戦争に導き
国を滅ぼした
そこまで書いて僕は筆を止めた
なんともやるせない気分になったのだ

純粋で無知な若者たちは
なにがなんだかわからないうちに
戦争にかり出され
なにがなんだかわからないうちに
死んでいった
その無念は慰められ
死んでいった若者たちは
英霊と呼ばれた

若者たちは
生きているときに
国の偉い人たちに利用され
死んでからも
国の偉い人たちに利用される
死ぬ原因を作り出したのが
国の偉い人たちだったと
知ることもなく
親のため家族のため友のため
そして国というなんだかわからないもののために
死んでいった

隣の国の事情は
少しだけ違うのだろうが
若者たちが国の偉い人たちに利用されるのは
きっと同じに違いない
そのまた隣の国の事情は
もう少しだけ違うのだろうが
若者たちが国の偉い人たちに利用されるのは
きっと同じに違いない

偉い人たちが集まって
国家を宣言する
いつのまにか人々は
国家の一部になる

国旗なんていうものが掲げられ
国歌なんていうものが歌われて
ナショナリズムが人工的に作られ
パトリオティズムが流布されて
だれもかれもが
無意識にプロパガンダに陥って
プロパガンダと同じことを言う
スピーカーになる

平時には機能している仕組みが
非常時には機能しないで
プロパガンダの暴走を
想定外だと言い訳する
どんな国家も暴力団のようなもの
危機を煽ったり戦争を起こしたりして
罪もない人たちを殺してしまう

国家なんていうものに
利用されないようにしよう
国家なんていうものに
殺されないようにしよう

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