そこにいるから

窓辺に座り
暗い木々の上に降る雨を見ながら
熱いコーヒーに砂糖を入れて飲む

立ち上がり窓を開け
暖房で火照った顔に
心地よい風を感じる

壁にもたれて座り
アルヴォ・ペルトの子守唄を
目を閉じて聴く

本棚の前に立ち
まだ読んでいない本を見つけ
手に取って読み始める

君は手を休めず働いている
僕は椅子で うとうとする
本が手からこぼれ落ちる

狭い部屋のなかに
静かな時間が
流れる

DNAのせいで幸せなのではなく
起きたことのせいで幸せなのでもなく
考え方のせいで幸せなのでもない

ただ君がいるから
君がそこにいるから
この静かな時間がある

One thought on “そこにいるから

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